山本家の最終兵器・アーセンがKIDの思いを背負い、RIZIN出陣 (4ページ目)

  • 布施鋼治●文 text by Fuse Koji 保高幸子●写真 photo by Hotaka Sachiko

──スタンドとグラウンドだったら、スタンドのほうが勝負しやすそう?

「向こうは柔術の世界チャンピオンですからね。危ないかもしれないし、相手の世界(グラウンド)には付き合いたくない」

 クロンとの一戦が決まるや、アーセンはタイへ。のべ1ヵ月半にわたり、バンコク郊外にあるムエタイの名門ジムでトレーニングキャンプを張った。

「ノリさん(KID)も一緒でした。タイ人や俺らだけではなく、ほかの国から練習に来ていた人たちもいたので、全部で14名くらいいたんじゃないですか。朝と夕方に一回ずつ練習をやって午後9時にはご飯を食べて寝る。そんな生活を続けていました」

 ロードワーク、サンドバッグ、ミット打ち。そして首相撲……このジムでムエタイの技術を中心に学ぶほか、週に1度はバンコク市内のジムまで足を運び、MMAのスパーリングで自分の成長を確認していった。練習の合間にはKIDが「ちょっと足の重心が後ろにかかっているよ」などと、丁寧にアドバイスやゲキを送ってくれた。

「今ではレスリングとMMAの重心のかけ方の違いもわかってきた気がします。僕はノリさんに教わっているので、構えや重心のかけ方なんかはノリさんと全く一緒。向こうでノリさんを知っている人とスパーをしたら、お前、ノリみたいな動きをしているなと指摘されたこともありました。今回は別に家族の思いとかではなく、俺はノリさんの思いを背負って闘います。ノリさんが期待してくれていることは十分にわかっているので。ノリさんがここまで(人を)教えることに集中しているのは、初めてなんじゃないですか」

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