【ボクシング】ライト級・坂本博之が語る「減量時の過酷な食事」

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro  是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

特集 スポーツの秋、食の秋(3)

元東洋太平洋ライト級チャンピオン・坂本博之インタビュー(前編)

 現役時代、ボクシング・ライト級の坂本博之は減量に苦しみながらも、一度リングに上がれば前進を止めなかった。その左フックは、比喩でなく対戦相手の骨を砕き、「平成のKOキング」の異名を誇った。畑山隆則との壮絶な一戦(2000年10月)を記憶しているファンも多いだろう。その坂本が食事について、減量について、そしてその豪拳で掴んだものについて語った――。

減量中の食事について熱く語る坂本博之減量中の食事について熱く語る坂本博之 現役時代を懐かしむように、坂本博之は計量直後の瞬間を語り始めた。

「まずは、水です。最初に口にしたいのは、肉でも、米でもない。だって想像してください。サウナに1時間入った後、いきなり焼き肉は食べたくないでしょ? だから、まずは水。のどから、胃へ、そして全身へ......。おおげさじゃなく、本当に乾いたスポンジに水が染み込むように、体中に水分が行き渡るのを感じるんです」

 ただ、のどは潤っても、すぐにメインディッシュを頬張ることはできない。

「胃が小さくなっていて、いきなり硬いものは受け付けないんです。だから僕は、最初にお粥を食べてました。身体がしょっぱいものも欲しているんで、梅干しを乗せて。梅干しを混ぜたお粥を、ゆっくり、ゆっくり、流し込んでいく......。その後、大好きなハンバーグを食べるんです」

 後楽園ホールのそばにあるファミリーレストラン『デニーズ』。そのハンバーグが坂本の好物だった。

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