女性ゲーマーたぬかなが嘆くeスポーツ界の女性蔑視。結果を出しても国内外から誹謗中傷がある (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 人の噂や陰口を叩くのは年齢性別を問わず、世の常。そのすべてを禁止することはできない。ただそれが誰もが見られる掲示板に、しかも誹謗中傷、女性蔑視的な内容で書かれることは問題だ。情報収集、コミュニケーションの場として掲示板を閲覧していたたぬかなは、それらのコメントによって気持ちが大きく落ち込むことがあった。

 それでもプロゲーマーとして活動するために、たぬかなは一念発起して大阪に移り住んだ。当時はネット回線の問題もあって、自宅からでは快適なオンライン対戦ができなかったため、ゲームセンターで練習する日々を送っていた。ここでもやはり女性蔑視は起こった。

「当時一番辛かったのは、やっぱり容姿に対する誹謗中傷ですね。もともとスカートが好きでひざ丈のものをよくはいていたんですが、座ってゲームをやっているだけで、『あいつ、パンツ見えとる』と掲示板に書かれました。それ以降、スカートをはくのをやめました」

 スキルを磨くためにゲームセンターで対戦を重ねていたが、周りの視線を気にしなくてはいけない状況では質の高い練習はできない。それでもプロゲーマーとして結果を出すために、できる限り外野の声を遮断し、時間の許す限りそこで練習を続けた。その努力が報われ、世界大会で好成績を残せるまでに成長した。しかし今度は海外のプレーヤーからも女性蔑視的な発言を書かれるようになった。

「『鉄拳でプロになっている女性は、全員枕をしている』と外国のプレーヤーの方に言われました。実力で勝った試合であっても、『女だから手加減されている。八百長だ』と言われることもありました。これは男同士の対戦だと言われないんですけどね。

 またオンライン大会だと、実際にプレーしている姿が見えないので、『別の人が代わりに戦っていたんじゃないか』と疑われることもありました。さらに『こんなにゲームのうまい女はいないから、絶対に元男だ』と。『こいつが男の時代に会ったことがある』とまで書かれましたね」

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