【男子バレー】西田有志、サーブで「人を狙います」 ロス五輪へ向けて発揮される「適応力」 (2ページ目)
【フェイクセットに瞬間的に反応】
今年1月に行なったインタビューで高校時代の話をしたとき、西田は漫画のような逸話を明かした。その勝負に対するアプローチは実験的で、ありふれていなかった。高校はあえて県内の一番手ではない高校に進学し、全国大会にはなかなか出場できず、高3で初めてインターハイの舞台に立ったが......。
「初めて全国に出るチームだったから、僕は『相手がどうこうじゃないバレーをしよう、自分たちができることをしよう』って伝えて。持っている力を出すのが一番難しいので、そこで自分が考えたのが......試合前日、夜中2時まで人狼ゲームをしたんですよ(笑)。それで東福岡、清風という強豪に勝った。チームメイトの能力の出し方を考えたとき、みんなが一緒にワイワイするのが好きだったから、人狼ゲームで緊張感がなくなったんですよね。『なんか楽しくね? 勝てんじゃね?』って。『勝ちたい、勝たないと』となるとプレッシャーを感じてしまう。それに気づかず、うまくいきました。次で負けたのも、先のベスト4を見てしまったからで、『どんちゃん騒ぎをしていたらよかったじゃん』って(笑)」
西田は「せっかくの全国大会だから」という小さな発想にとらわれなかった。仮説を立て、実証する。それが正解かどうかはわからないが、帰納的にたどり着こうとする。そのプレッシャー回避に限界があるのを今は承知しているが、それも検証した結果で、トライ&エラーが彼の適応力を高めてきた。
韓国戦で彼のバレー人生が滲み出たのが第2セット、22-10のシーンか。髙橋藍がバックアタックで前へ飛び、打つ直前でフェイクセットに切り替えた。それを受けた西田はややつまり気味ながら、うまくブロックの下に当て、吸い込みに成功した。髙橋が打ちそうに見え、西田自身も意外そうだったが、瞬間的に反応した。
「自分が打つ準備は常にしています。ただ、ボールへのアプローチのところで、いつものようなスペースを作れていなかったので。そこでどうにか空間を作ってスパイクを打てたのがよかったかなと」
西田はそう明かしていたが、実は一度負けたはずの賭けを逆転させていたのである。
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