【男子バレー】広島サンダーズの髙梨海輝が振り返る、最後の春高バレー前の転機 コロナ禍でつかんだ「跳んで叩く感覚」 (3ページ目)
【チームメイトになった日本代表のミドルからアドバイスも】
「大学と比べて、何段階もレベルが高いところでプレーしないと通用しません。まず、その順応が難しい。大学で通用していたプレーが通用しないのが、今の一番の課題ですね。今までのクイックでは、ブロックにハマってしまう。サーブも、入れるだけだとチャンスボールになるので、強さの調整、スピードの変化が必要。全部のプレーのレベルを上げないといけません。ついていくのに必死です」
広島サンダーズでは、縁も感じている。同期入団の柳北悠李は、東亜大学のチームメイト。さらに遡れば、春高の準決勝では相手チームの選手として対戦し、清風高校が敗れている。
「柳北とは大学1年の時からずっと一緒にレギュラーで出ていたので、やりやすいですよ。このチームにふたりで入れたのは心強いです。僕からしたら、柳北はユース代表合宿にも選ばれる"すごいやつ"って感じですけど、『俺も頑張ろう』って思えますね」
入団1年目、外国人選手のプレーや日本代表の選手たちを前に「すごい」と思ってしまうことが多いという。しかし、試合のコートに立てるところまできたら、それも変化するだろう。彼はそうやって苦境を乗り越えてきたのだ。
「(日本代表のミドルブロッカーである)西本(圭吾)選手には『腕はこうした方がいいよ』とブロックのアドバイスをもらいました。本当にすごい選手ですね。自分は、まずはワンポイントで使ってもらえるようになりたいです!」
髙梨は言う。Bクイックで叩きつけた一撃の感覚は忘れていない。
(後編:髙梨海輝が黒尾鉄朗から得た教訓あきらめずに追った先にある「最後に咲う(わらう)ブロック」>>)
【プロフィール】
髙梨海輝(たかなし・かいき)
所属:広島サンダーズ
2002年10月11日生まれ、大阪府出身。192cm・ミドルブロッカー。中学からバレーを始め、大阪の名門・清風高校に進学。3年時には春高バレー3位に貢献した。その後、東亜大学では1年時の中国大学1部春季リーグでスパイク賞を受賞。2024年の春季リーグではブロック賞に輝いた。卒業後、広島サンダーズに入団した。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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