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【男子バレー】西田有志、SVリーグ開幕戦勝利で新章が始動 「過程がものを言う」と今季に自信 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【キャプテンとして落ち着きを与える】

 西田も足を攣りながら、ブリザールのトスを楽しんでいるようだった。とにかく予定調和がない。もっとも、自らトスをもらうためにアンダーで上げたボールを、ブリザールがバックから2アタックで決めたシーンは、西田もさすがに呆気に取られたという。

「あれはたまたまですね。アントワーヌも(スパイクを)打てる選手ですけど、自分が戻したパスは、"(自分にトスが上げられる)アプローチを取れるパスの高さで出したら彼がそこにいて、気づいたら打っていた"という。あれを狙ってできたら、やばいチームです」

 西田は肩をすくめて言い、満席の会見場では笑いが起きた。それだけ高いレベルのトリックプレーだった。トスを上げるのが仕事のセッター、ブリザールがスパイカーの西田に上げず、自ら即興でバックアタックするのだから、味方をも欺くほどだ。

「自分にとって、2アタックは珍しくありません。西田のいいセットでした。いいタイミングで来て、打てそうだったので」

 ブリザールは平然と語った。それが普通の感覚なのだろう。次元の違うセッターが入ったことは、西田にとっても進化の触媒になるはずだ。

 キャプテンになった西田は、とことん落ち着いていた。たとえばマッチポイントでは、サーブに向かう甲斐優斗にこう声をかけている。

「最後の1点、思いきっていけ」

 振りきった甲斐のサーブは、唸りを上げて代表リベロの小川智大を襲い、それが勝利の一撃になった。

 しかし、翌日の試合では、ブルテオンはサントリーにセットカウント1-3で敗れている。1、2セットを立て続けに失い、3セット目で目覚めたように巻き返し、4セット目もやや優勢でデュースになったが、25-27で落とした。

「1 、2セットは劣勢で、そこから打開し、3セット目はやるべきことができて収穫があった。確かに結果はついてきませんでしたが、そういうこともあるっていうのは想定内。自分にとっては過程が(最後に)ものを言うと思っているので、楽しみながら成長したいですね」

 西田は冷静に試合を振り返った。レギュラーシーズン44試合の長丁場、焦りは禁物だ。

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