【男子バレー】世界バレーでも潮流に 石川祐希が示唆する「海を越える」意志の重要性 (2ページ目)
【「主張を持たないと通用しない」】
滲み出る骨太さも人気のひとつかもしれない。リビア戦後、石川は自責の念に駆られるように洩らしていた。
「なかなか解決策を見つけられない、っていうのはあってはいけなくて......。自分は、困ったときに頼られる立場だと思うので、いつでも解決策を出せるようにしないといけない。そこで力を出せなかったというのは、やっぱり自分に足りなかった部分で、今回の世界選手権を経験して大きく成長できたら、って思っています」
世界バレーで彼が奮闘していたことだけは間違いない。しかしチームスポーツでは、お互いとの関係性でうまくいかないことはある。特にカナダ戦は不調だったが、周りとの関係で生じた現象でもあっただろう。キャプテンの役回りを担う一方、1年目のチームには機能不全のところもあった。イタリアでプレーするときのようにエゴを出せず、もどかしさが募っているように見えた。
そこで、アウトサイドヒッターという「託される」ポジションの石川に問うてみたいことがあった。
――試合を決めることが託されるサイドというポジションは、世界的に活躍する場合、"エゴが出る"太々しさが必要で、石川選手が輝くときはまさにそれを感じるのですが、いかがでしょうか?
「個人で見たときには、僕的には(ふてぶてしさは)必要なことだと思います。たとえば"海外でやる"ってことを考えたときは、そこの自我というか、主張するものを持っていないと通用しないと思います。ただ、日本のチームでやる場合は別なのかなとも思っています。日本のチームは"みんなでやろう"という意識が強いので、"俺が、俺が"じゃなくても、周りが同じタイプの選手なら、それでハマるかもしれません」
とても興味深い答えだった。
石川の立場で「海外に行くべき」という主張はしにくいはずだ。SVリーグは世界最高峰に匹敵する実力と魅力があるだろう。しかし今や各国の選手が、イタリア、ポーランドという強いリーグのクラブでプレーし、代表に経験を持ち帰り、戦力となっているのも間違いない。リビアにさえ、セリエAで売り出し中の選手がいた。
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