【男子バレー】世界バレー予選敗退の真相を探る コートで「ごめん」と謝る選手がいた (2ページ目)
【暗さを払しょくできなかったカナダ戦】
トルコのラマザン・エフェ・マンディラーチのサーブは異質だった。スパイクサーブのスピードで、かつフローターの無回転で不規則に曲がる球は「映像で観るよりも厄介だった」(山本)という。マンディラーチはセリエAで活躍するアウトサイドヒッターで、言わば"トルコの石川"か。どの国もイタリアやポーランドで外国人選手として活躍し、その経験を代表に還元する選手がいた。
「そうした選手が自信を持ってプレーしたとき、日本が勢いで負けてしまったり、逆に勢いが通用しなかったり......僕たちの試合だけでなく、いろんな試合を見て感じました」
この石川の証言は言い訳ではなく、目を背けるべきではない事実だ。
しかし、多くの日本人選手がトルコに負けた失望から再起できなかったことこそ、検証の余地があるだろう。
カナダ戦での日本の士気が低かったわけではない。しかし受け身に回り、どこかで腰が引けていた。見透かされたように6連続ブレイクに遭い、1セット目を20-25と落とした。結局、トルコ戦と同じく、カナダ戦も流れに抗えずに完敗した。
「1セット目、向こうのペースのまま失点して......そこは正直、トルコ戦から少しネガティブな雰囲気を引きずる選手も多かったです。自分は切り替えないと、という思いで、まずは自分が得点を取って、"主人公になる"じゃないですけど、それでチームを引っ張っていけばいいかなって。それが今日のプレーにつながりました」
髙橋はカナダ戦をそう振り返っていたが、暗く沈んだチームのなかで、まさにひと筋の光明だった。チーム最多11点で、サーブもエース2本で守りを崩した。たとえば2セット目は19-24とリードされたが、髙橋のサーブで23-24まで迫っている。レセプション(サーブレシーブ)、ディグ(スパイクレシーブ)の回数も最も多かった。フェイクセットは壮観で、八面六臂の活躍を見せた。
しかし、チームは暗さを払しょくできず、コート内で「ごめん」と謝る選手がいた。上を向くスポーツで下を向いていた。
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