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【男子バレー】山本智大が苦杯を喫した世界バレーを総括 「日本もしっかりサーブを打てるようにしないと...」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【「他国もディフェンス力が上がっている」】

 世界で実力が認められているリベロだからこそ、予選ラウンド敗退には忸怩(じくじ)たる思いがあったはずだ。

「理想と現実のギャップはありました。ここ2、3年は、代表がとてもいい流れで来ていました。VNL(ネーションズリーグ)でメダルを連続で獲って、オリンピックでもメダルには届かなかったけど、日本バレーが確立がされていく手応えがあっただけに......」

 山本はそう振り返ったが、「ボールを落とさない」という最後の砦になってきたリベロの言葉には重みがあった。

「僕も2019年に代表に入って、うまくいかない時期も経験してきました。だからロス(五輪)に向けての1年目としては悪くなかったと思います。世界バレーも勝って表彰台が目標でしたけど、簡単にいくとも思っていなかったです。監督が変わって、新しいメンバーも入って、噛み合わない部分もありましたから。今は『この体験も貴重だった』と言えるように......」

 日本の強さはサーブ、ブロック、レシーブ、トス、スパイクという一連のプレーの"回路の精巧さ"にあるだろう。逆説すれば、そのどこで歪みが出ても劣勢となる。高さとパワーで相手を圧倒するスタイルではないだけに、精密な回路を維持できなかったら出力は下がるのだ。

――今大会、リベロから見た景色はどうでしたか? 難しい展開だったと思いますが......。

 そう訊ねると、山本は明るい声で答えた。

「難しいというか、できている時もあったんですけどね。日本だけじゃなく、他の国もディフェンス力全体が上がってきていると思います。今回はサーブの強さをトルコ、カナダで感じて、やっぱりサーブは大事だなとも思いました。日本もしっかりサーブを打てるようにしないと」

 サーブで崩し、ディフェンス力で粘って勝つのが日本バレーの信条だ。

「リビアは力が落ちる相手でしたが、サーブで崩すことで楽な展開に持っていけました。逆に、後手に回ると相手も狙ってきたはずで、ハードヒッターが少なかったから、サイドアウトは取れましたけど。強い相手にもそうやってサーブで優位に戦えるようにならないと」

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