【男子バレー】髙橋藍「ここから強くなります」世界バレー最終戦で見せた敗北からの希望 (2ページ目)
【「若い選手が雰囲気を変えられる」】
「代表シーズンは5年目で、今シーズンは"考えながらやりすぎていた"と思いました。"自分が決めないと""うまくやらないと""チームをうまく回さないと"と、いろいろと役割を考えすぎてしまって、それが(悪い方向に)自分のプレーに出ていました。福澤(達哉、元日本代表で解説者)さんと練習後に話して、『藍は本能でやるところからうまさが生まれるんだから』と言われて、さすが自分のことを知ってもらっているなって(笑)。それで気が楽になって、"自分の感覚に従ってやっていない、考えすぎちゃっている"と反省して」
彼は饒舌に言葉を継いだ。
「これまで僕は、自分の感覚を頼りにやっていました。それでカナダ戦からは感覚をフルに出す感じに戻した。それが自分のパフォーマンスの出し方だと思ったんです。おかげで拮抗した場面でも、"最後の1点を取れる、大事なところで取れる"につながっていたと思います。それが自分自身の戦い方だと、今日はあらためて感じられました」
試合の流れをつかむことで、面白いように勝負は優位に動かせる。第1セットの25点目を髙橋がブロックアウトで決め、実力差を見せつけると、相手の心は半ば折れていた。そこからはランキングの差が現われ、圧勝につながったのだ。
「スパイク(の精度)が上がれば、ディフェンスも上がってくるし、サーブが上がってくれば、ディフェンスも上がる。ディフェンスもスパイクも上げるには、自分の感覚でやることが大事で......」
髙橋はそう振り返ったが、まさに自らが自らを輝かせるような、ポジティブなエゴだった。彼が明るく照らした道に、周りもついていく。それだけの熱量を放っていた。若さの勢いもあるだろう。厳しい敗北を、希望の見える勝利に裏返すだけのパワーだ。
「自分のような若い選手たちが、雰囲気を変えられると思っています!」
彼はそう言い放ったが、その意気こそ頼もしい。明朗な野心は、キャプテンという重圧が足枷になりかねない石川をも救う。3セット目には、髙橋の自慢のディグから石川が即興で決め、さらに腕一本のディグをやはり石川が叩き込んでいた。両輪が揃ってこその日本の強さだろう。
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