【女子バレー】「お菓子を食べるならゆで卵を食べよう」木村沙織が海外生活で身につけた栄養意識 自炊は「ポトフばかり作っていました」 (3ページ目)
【海外で重要になる臨機応変な対応】
ーー日本と海外を比べて、それぞれ長所と短所はあると思いますが、そこはどうでしたか?
日本にいる時は、プレーする環境が整っているので、その違いはありました。日本は急に試合や練習がなくなったりしないですし、集合時間に必ずバスが来る(笑)。それはすごくありがたいことです。何時何分に出発で、10分前に集合したらバスも来ているというのは当たり前じゃないんだなって......。
ーー海外はもっと時間にルーズだし、予定していたようになかなかいきませんよね。一方、それに対する適応力が自然と鍛えられるところもあるようで......。
そう思いますね。海外の選手は臨機応変さ、対応力が身についていると思いました。五輪での戦いを振り返ると、意外とそういうところが大事な要素になるんです。いろんな大会がありますが、五輪が一番ハード。選手村には限られた人数しか入れないですから、自分でやることが多いのです。
たとえば食事も、自分で歩いて食堂まで行かないといけなくて、それがホテルのなかにあるわけじゃないので、かなり遠かったりして慣れないと疲れてしまう。食堂に行ったら行ったで、全世界のご飯にたくさんの選手たちが集まっているから、早めに食事のルーティンを決めないと、いつまで経ってもどれにしようと迷ってしまいます。
ふだんの大会では、バスも決まった時間に迎えに来てくれますが、五輪では自分たちでバレー会場へのバスの時間を調べて行かないといけない。乗り遅れそうになりますし、そういうことに対応するのが五輪ではじつは大変でした。でも、海外の選手たちはふだんからそういう生活に慣れているんです。
ーー海外の選手がタフな理由もわかったと?
そういうことに気づけたのは、海外でプレーしてよかったことのひとつかもしれませんね。
終わり
【profile】
木村沙織 きむら・さおり/1986年生まれ、東京都出身。2003年、アジア選手権で代表デビュー。2005年、東レアローズに入団。2012年ロンドン五輪で銅メダル獲得。2012年に世界最高峰リーグであるトルコの「ワクフバンク」に移籍し、ヨーロッパチャンピオンズリーグ優勝を経験。2016年リオデジャネイロ五輪でキャプテンとしてチームを牽引した。2017年に引退。現在は、子育てとともにメディア出演などマルチに活躍する。夫は元バレーボール選手の日高裕次郎氏。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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