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女子バレー日本代表にネーションズリーグで浸透したアクバシュ監督のスタイル 泥臭く拾い、攻め続ける (2ページ目)

  • 坂口功将●文 text by Sakaguchi Kosuke 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 女子日本代表が"東洋の魔女"と呼ばれ国際舞台で隆盛を誇った頃、泥臭く、それでいて華麗にボールを拾い上げる"回転レシーブ"が武器だった。そのDNAは半世紀以上も受け継がれ、史上初の外国人監督になっても変わらない。「『ノータッチは絶対になし』と監督も言いますし、それこそローリングしてでもボールをつなぐ。攻めること、それはオフェンス、ディフェンスともにやるべきだと思いました」。セッターの中川つかさ(NEC川崎)の言葉である。

 アクバシュ監督は2017年から女子日本代表のアシスタントコーチを務め、一度は離れたものの、再び帰ってきた。昨年の監督内定会見では「ヨーロッパに戻った際にも『これで日本との関わりが終わったわけではない』と感じていました」と明かし、その言葉の端々からは日本のバレーボール文化へのリスペクトが滲み出る。

 2028年ロサンゼルス五輪への第一歩を踏み出した今年のスローガン「STRONG ROOTS(=強い根を張る)」のとおり、日本に元来宿るディフェンス力に"攻めの姿勢"を植えつけることで、さらに強固な土台を作りあげているのだ。

【"3本の矢"を軸に攻撃力もアップ】


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 同時に、今年5月のキックオフ会見では「アグレッシブな試合運びをするためには、アタックの数字はとても重要」と攻撃力のアップを強化ポイントに掲げていた。その点に関して、2024-25 大同生命SVリーグで得点能力の高さを証明した佐藤淑乃(NEC川崎)を石川の対角に、オポジットには昨年夏のパリ五輪でも非凡なアタック力を披露していた和田由紀子(NEC川崎)を抜擢した。

 海外のリーグでレベルアップを遂げている石川を身近で感じながら、佐藤も試合を通して2段トスの決定力に磨きをかけている。一方の和田も、予選ラウンドではチーム最多得点をマーク。石川、佐藤、和田という"3本の矢"を軸として、セッターの関菜々巳(ブスト・アルシーツィオ/イタリア)が積極的にミドルブロッカーの攻撃を絡めることで、その攻撃はより効果的に得点を生んでいる。

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