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髙橋藍が語る「日本バレー」と「世界との戦い方」 アルゼンチンに大逆転で2連勝 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【ディフェンスの重要性を強調】

 髙橋はそう言って、こう続けている。

「自分自身、世界のトップ選手と比べると身長がそこまで高くないので。レシーブのところでクオリティの高いバレーボールをしない限り、得点を取りにくい。セッターが上げやすい位置にレシーブをして、セッターがいい状態でトス、という常にいいバレーをしないと勝てないと思います。今の日本代表のレシーブ、ディフェンス力は世界のトップレベルだし、自分自身もなんでもできるタイプのプレーヤーだからこそ、このクオリティにこだわっていますね」

 まずはしっかりと守れるか。そこで特筆すべきは、髙橋が得点成功率でもチームトップの25%で、スパイク決定数は19本で宮浦、石川と同数だった点だろう。攻撃でも数字を残しているのだ。

 髙橋は空中で止まって、空いたコースを狙える。大きな体を自在に使いこなせるだけに、クロス、ストレート、プッシュ、フェイント、背面ショットまで使い分け、相手の読めないポイントを打ち抜ける。とりわけ飛翔するバックアタックは迫力満点で、相手にとっては怪鳥に頭上から襲われるような怖さだろう。

 まさに攻守を司り、"二面八臂"といったところだ。

 そして髙橋は勝敗の天秤を動かす瞬間、最大の輝きを見せる。ドイツ戦は結果的に逆転し、力の差を示したスコアになったが、実は3セット目は18-21と終盤まで3点リードを許し、どう転んでもおかしくなかった。そこで髙橋は叩きつけるようなパワースパイクを決めたあと、技巧的なブロックアウトの一撃も決めた。ブレイクに成功し、最後はもつれた末に、セットポイントのスパイクもアンダートスで決めきった。

「無理して打たない、打つときは打つって感じですね」

 彼は軽やかに言うが、勝利を呼び込む星を持っているのだ。

 そして7月17日、日本は同じくパリ五輪で対戦したアルゼンチンを3-2(23-25、23-25、25-21、25-23、15-13)とフルセットの末の逆転劇で下している。

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