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「のあめい」ビーチバレー国内トップツアーで苦汁をなめるも、それがまた大一番への糧となる (2ページ目)

  • 小崎仁久●取材・文 text&photo by Kosaki Yoshihisa

 そうした状況のなか、相手のミスもあって中盤までのスコアは拮抗していたが、終盤になって一気に離されて16-21で第1セットを落とす。動きに精彩を欠いていた「のあめい」はイージーなミスも目立ち、"らしさ"は影を潜めていた。

 それでも、第2セットでようやくエンジンがかかり始めた「のあめい」。U21アジア選手権でのプレーを経て、課題のひとつに挙げていたサーブで立ち上がりから相手を圧倒した。森の3連続サービスエースでポイントを取ると、宇都木の真骨頂、ツーアタックも決まるようになって、21-10でセットを取り返した。

 これで、「のあめい」が完全にゲームを掌握したと思われたが、第3セットでは再びミスを連発。パス、トスの精度が下がり、強打が打てなくなると、試合の主導権を失った。難しい風のなか、攻撃に有利な風下側(グッドサイド)と、不利な風上側(バッドサイド)で攻守の緩急もつけられず、攻め手を欠いて10-15。最終セットを落とし、セットカウント1-2で予選敗退となった。

 試合後、「調子が悪いなか、すべてのプレーを向上させようとするのではなく、(最も改善すべきポイントに)フォーカスして最低限のプレーをするべきだった」と森。難しい風にも対応しきれず、「グッドサイドでのサーブのミスが多かったり、攻撃で相手にプレッシャーをかけられなかった」とうなだれた。

 一方、宇都木も「課題としていた立ち上がりの悪い部分がまた出てしまった」と唇と噛んだ。また、同大会ではサブコートがなく、試合前のウォームアップでは各選手が苦労していたが、「試合で100%を出せるようなウォームアップをする意識が必要だった」と反省の弁を口にした。

 2度目のトップツアー挑戦で上位進出が期待された「のあめい」だったが、ゲームの組み立てや風の読みなど、経験が必要な部分で、相手を上回ることができなかった。ただ、それらについては彼女たちもよくわかっている。宇都木が言う。

「ずっと同じテンポでスパイクを打ってしまっていた。もっとリズムを変えて打つなど相手にプレッシャーをかけないといけない。相手のウィークポイントをどんどん突いていくように考えてプレーしないと......」

 ともあれ、U21アジア選手権を経て、成長したプレーも随所に垣間見えた。森のサーブはチームにとって大きな武器のひとつとなっており、宇都木の強打も相手に脅威を与えていた。ディフェンス力も着実に向上していた。

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