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【SVリーグ男子】東京GB・柳田将洋が考える新リーグの今後の課題 目標は「バレーボールの価値を高める」こと (2ページ目)

  • 市川 忍●取材・文 text by Ichikawa Shinobu

【1年目を終えて感じたSVリーグの課題】

 将来的に完全プロ化を目指しスタートしたSVリーグだが、1シーズンを終え、リーグの運営に対して柳田はどんな印象を持ったのか。

「試合数については、興行としての考え方と、アスリート側の意見と、それぞれの言い分があるので、今すぐにすべてをガラッと変えるのは難しいし、即座に変えることができない事情は僕も理解しています。ただ、もっとそういったことを話し合う場があればいいなとは思いますね。

 選手としては、試合は週に1回がいいとか、逆にリーグとしては試合を2回行なわないと利益が得られないとか......。トータルの試合数についても同様で、採算のことを考えるとこれくらいの試合数が必要だとか、双方の意見の落としどころを話し合う場が必要だとは感じています。

 機構にしろ、選手会にしろ、どこかひとつだけの主導で押し進めようとすればバランスが崩れてしまう。選手とクラブ、リーグ機構と、できればファンも含めて、いろいろな人の考え方を聞いて、バランスを鑑みて今後は変化していく必要があるのではないかと感じています」

 では、柳田はどのようなリーグの未来を望んでいるのだろうか。

「チーム数が増えてほしいとは思っています。数年先にはコートに立てる外国籍選手が3人になるという情報も今、出ていますよね。そうなると、おのずとその外国籍選手がコート内のポジションを取る可能性が高い。保有する外国籍選手数も制限がないのだとしたら、チームはリスクヘッジとして外国籍選手の代わりも、別の外国籍選手で補おうとする可能性もある。そうすると日本人選手の入れるポジションは極めて少なくなります。

 それを乗り越えて成長することももちろん大事で、それによって日本代表のレベルが上がるという考え方もあると思いますが、そもそも国内リーグで定位置獲りに挑戦できる人数が少なかったら、試合に出る権利の奪い合いで終わってしまう。

 そう考えると、もっとチームの母数を増やして日本人選手の出場機会を増やしてほしいという気持ちはありますね」

 SVリーグ発足時に掲げた目標は最大16チーム。ただし来年度も初年度と同じ10チームで開催される。

「16と言わずに、例えばカンファレンスを別にしてもいいので、さらに増えれば......。いろいろなルールづくりをしたうえで、多くの選手がプロになって地域を盛り上げ、競技を盛り上げ、社会を盛り上げていくことが大事だと考えています。それがバレーボールの価値を高めることにつながっていくのだと思います」

つづく

Profile
やなぎだ・まさひろ/1992年7月6日生まれ。東京都出身。186㎝。アウトサイドヒッター。2023年から東京グレートベアーズ所属。東洋高から慶應義塾大に進学し、3年次に初めて全日本メンバーに登録される。2015-16シーズンにはVプレミアリーグで最優秀新人賞を受賞、2017年にはプロ選手となり、ドイツ、ポーランドの海外リーグでもプレーした。日本代表でも長年活躍し続け、直近では2023年は杭州アジア大会代表として銅メダル獲得に貢献した。

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