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【ハイキュー‼×SVリーグ】東レ静岡の山口拓海は烏野の武田一鉄の言葉に「奮い立つ」 リベロとして目指すのは「陰の立役者」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 感謝の念を浮かべて懐かしむ山口は、彼なりのペースでリベロと向き合ってきた。

「『自分に打って来い』っていうのはあまりなくて。冷静に、客観的な感じでプレーしています。『この状況だったら、どうすべきか』をすぐ計算しちゃう。例えば、サーブレシーブを3人で守るとして、あえてライン際は捨てる。全部を守れるわけではない。規格外の高さでやられた時は、しょうがない......といったように意思統一できないと守備が崩壊していく。"盛り上げ役"じゃない分、冷静に声をかけてます」

 レシーブにはこだわっている。ひとりだけ違う色のユニフォームを着て、拾うことが求められるポジションの流儀だ。

「リベロが記録に残るのはサーブレシーブ率で、5シーズンやってきましたが、1位を目指してきました。今シーズンは右手のケガで出場規定数が足りませんでしたが、数字的には8位くらい。個人記録ですけど、1番を狙いたいですね」

 今年2月、山口は右手を手術した。スパイクをレシーブしようと片手を出した時の負傷だった。デリケートな箇所だけに、微かに引退も頭をよぎったが、体は動いて、むしろ「まだまだできる」という自分を発見した。来シーズンに向けては、ケガからの復帰もあって不安がないわけではないが、「やってみるしかない」と腹を括っている。

「僕は正直、目立つのが好きじゃない。"陰の立役者"が性に合っているんです。だから派手なディグよりも、味方への声かけだったり、チームが落ちているときに支えたり、ということをやっていきたい。観客のみなさんにはわかりにくいかもしれませんけど」

 そう言って明るく笑う顔に、リベロの頼もしさが浮かんでいた。

【山口拓海が語る『ハイキュー‼』の魅力】

――『ハイキュー‼』、作品の魅力とは?

「胸が熱くなりますよね。いろんなシーンがあって、負けた後もしっかりと描かれている。負けて泣きながら飯を食う場面は、何度も繰り返し読んでいて印象に残っていますね。僕も今までのバレー人生、日本一になったことはないので、負けた時の気持ちを思い出します」

――共感、学んだことは?

「烏野の武田(一鉄)先生が、特に負けたあと、いいこと言うんですよ。言葉が心に入ってきますね。物語の最初のほうで、鳥養(繋心)さんにしつこくコーチになってくれるよう頼むシーンがあるじゃないですか? バレーを知らなくても、一生懸命にチームのために動けるところは尊敬できるなって」

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