髙橋藍と昨季王者サントリーの現在 1勝1敗に終わったSVリーグ上位対決の「潮目」 (2ページ目)
【「"点差をつける"ことを意識」】
しかし、髙橋は逆境で輝く。
そこから自ら押し込んで、サイドアウトを取る。そして得意のサーブで崩し、ムセルスキーのアタックへと旋回。さらに2度にもわたってエースも奪って、15-8と引き離した。
この間、ジェイテクトは2度、タイムアウトを取ったが、流れを変えられなかった。
――ここが潮目だと考えたのか?
試合後の会見、筆者は髙橋にそう訊ねている。
「(力のある)ジェイテクトが相手なので、メンタルのところで(有利になるために)も、出足から"点差をつける"ということは強く意識していました。リードしている時でも、そこはしっかりとフォーカスしていましたね」
その後、サントリーは反撃に遭うが、この点差を生かし、またも25-23で際どくセットを連取した。
3セット目をサントリーは23-25で落としたが、動じなかった。髙橋に代え、アレクサンデル・シリフカを投入すると、戦いの流れを取り戻した。
「相手に盛り返されそうになることもありましたが、パニックにならずに選手たちがプレーに集中してくれました」
サントリーのオリビエ・キャット監督はそう言って、交代がもうひとつの分岐点になったことを説明している。
「髙橋(のプレー)が悪かった、よかった、ではなくて、チームの流れ、勢いを変えたいと思いました。もともと、シリフカには『ウォームアップを』と伝え、交代のタイミングを探っていて、4人のサイド(髙橋、シリフカ、藤中謙也、デアルマス・アライン)をいつ、どう使うか、というマネジメントのところで相手を困らせることができました」
4セット目は、サントリーが序盤からブレイクでリードを重ねた。シリフカの左腕が唸り、小野寺の老練なプッシュが決まり、鬼木のブロック、クイックも効果的だった。最後は、25-14と大差をつけて勝利した。
「サイドアウトを(1本で)切れなかった」と、ジェイテクト陣営が試合後に振り返っていたように、後手に回った。
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