パリオリンピック男子バレーボールを髙橋藍の勝負論で総括 なぜ「1点」届かなかったのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

「(東京五輪のベスト8と今回のベスト8の)違いを言われると、難しいです。(何を言っても)結果は一緒。どちらにしろ、何かが足りなかった。東京五輪の時(準々決勝でブラジルに0-3とストレート負け)は、まだチームを引っ張っていけず、勝たせられる存在ではなかったです。それが今回は、最後の1点を取れなかった。違う悔しさですね。この舞台で勝てる選手になっていきたいと思います」(髙橋)

 準々決勝、日本の選手たちは燃えていた。サーブで崩し、ディグで拾い、コンビネーションを使ったオフェンスはワールドクラスだった。イタリアを追い込み、反撃を受けても、あくまで互角。ファイナルセットも、デュースで勝利をつかみかけていた。

 日本の選手の実力は十分だった。

――チームスポーツは才能が束になって出る時代があって、お互いが高め合い、想定外の強さを見せることがあります。今はその時に見えますが......。

 筆者が髙橋にそう訊ねた時、彼はこう答えていた。

「あるかもしれませんね。自分自身がやっていても、"(日本の男子バレーは)強いな"とシンプルに感じます。石川選手を筆頭に、海外でやる選手も増えて、海外の選手に気後れせずに戦えるようになったのが、今の日本代表の強さでしょうね」

 まごうことなき史上最強のジャパンだった。その戦いは、心を揺り動かした。次は世界最強だ。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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