パリオリンピックのケニア戦がラストマッチに 日本女子バレーにとって古賀紗理那とは (3ページ目)
彼女はバレーを考え、感じていた。冷静と情熱の間を、たゆたうように戦い続けたのだろう。キャプテンとエースの重責を同時に担った。
眞鍋政義監督も、その点を激賞していた。
「古賀はこの大会(パリ五輪)だけでなく、日本のエースとして、キャプテンとして、2年3~4カ月の間、よくやってくれました。特に(パリ五輪出場をかけた)ネーションズリーグの1カ月半はそうですね。初めはどうなるのか、と思っていましたが、キャプテンという役職が人間を成長させるんだな、とつくづく思いました」
眞鍋監督は、選手に苦言を呈すことも少なくなかったが、チームを託した古賀には満点を与えていた。文句をつけられない実力と献身だったのだろう。日本女子バレーのひとつの時代を背負ったヒロインだ。
ただ、古賀本人にとっては孤高の戦いだったのではないか。彼女は双肩に重荷を背負いすぎていたようにも映る。どこかで悲壮感が漂った。解き放たれた古賀は、どんなバレーをしたのだろうか。
取材エリアで古賀は、自らの"ラストマッチ"への質問は興味を示さず、「いつもどおり」と流していた。
「(五輪は)苦しい試合ばかりでした。でも、オリンピックの出場権を獲ったのも私たちで、みんな、自信を持ってやったらなって思います」
最後に絞り出した言葉は、自分に続く者たちへのエールだった。
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プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。
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