パリオリンピックのケニア戦がラストマッチに 日本女子バレーにとって古賀紗理那とは (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【キャプテンでエースの重責】

 その翌日、フランスはアメリカを相手に大接戦を演じた。この試合でフランスがアメリカにストレート勝ちすることが、日本の準々決勝進出の条件だった。フランスは地元の大声援に押され、サーブやブロックで拮抗。1セット目、27-29と、あと一歩まで追い詰めたのだが......。

 パリ五輪の日本女子バレーは幕を下ろした。ケニア戦が、古賀のラストマッチになったのだ。

 古賀紗理那とは何者だったのか?

 今年6月のネーションズリーグ福岡大会で、カナダに逆転負けし、五輪出場権を自力で決められなかった試合のあとだった(結局、複雑な得点の計算により、のちに日本の五輪出場が決まっていたことが判明)。どこか不穏な空気のなか、"気持ちが足りない"という意見がたち込み始めていたが、古賀はそれを牽制する発言をしていた。

「こういう時には特に、"気持ちが弱かった"と捉える人も多いと思います。選手でもスタッフでも、たくさんいると思いますけど、もちろん、気持ちは大事なんですけど、まずは自分たちがやるべきことを整理するのが大事で、たとえばコンビの精度、"パスをこう作ろう"というのをしっかり確認し、次に向かえるように......」

 彼女は、あくまでバレーボールと向き合っていた。勝ち負け以上に、バレーで上回れるか。そこを突き詰めないと、体格的に劣る日本が勝つことはできないし、世界と戦えず、選手として楽しくもないのだろう。

 一方で、矛盾するようだが、彼女は誰よりも"気持ち"の選手だった。気持ちが入っていることで強度も出た。

 ケニア戦後、彼女はこう語っていた。

「(パリ五輪は)タフな試合が続きました。私たちの苦しい時間帯がたくさんあって、1、2戦目は特に苦しかったです。でも、そこでも自分は声をきらさずにプレーしようとやっていました。世界のチームと対等に戦うには、他国のチームよりも精度の高いサーブや、ディフェンス、オフェンスもカギになってくるんだろうな、というのを予選3試合で感じました」

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