パリオリンピック男子バレー 準々決勝進出の立役者、西田有志は「あと3試合、噛みしめながら戦う」 (2ページ目)
【「自分たちのバレーに近づいた」】
西田は攻撃の手を休めない。
再び、関田のバックトスからスパイクを打ち抜く。続けて、強弓そのものになって矢のようなスパイクを決めると、飛行機のようなポーズで駆け回る。17-11、18-11と引き離した。また、19-14と差を縮められかけたところでは、関田からのトスを打って、ボールを向こう側へ吸い込ませる。直後にはブロックに成功するなど、完全にスイッチが入っていた。
25-18。日本のベスト8入りを確実にする1セットを取りきった。
「3、4セットは打ちきるしかない、と思っていました。リバウンドを取れるようになって、日本のリズムにして......。3、4セットは自分たちのバレーに近づいたと思います。サーブでのプレッシャーを与えられるようになったのは大きかったかなと」
西田は実感を込めて語っていた。4セット目は19-25で敗れたが、どう転んでもおかしくない内容だった。リベロの山本智大を中心にボールを拾い、ブロックフォローも堅実で、防御が攻撃を旋回させた。最後は山内晶大のサーブも決まった。
「自分たちのバレーをどうするのか、再確認したいですね。それができれば、アメリカ相手でもセットをとれたわけで、そこから勝ち筋が見えてくると思うので。しっかりクオリティを戻して、自分たちがやってきたところの自信を持ってやっていくしかないです」
西田が言うように、アメリカ戦の3セット目こそ、必勝の形なのかもしれない。
「全員が活躍する、というチームでありたい」
大会前から、西田は実直な姿勢で話をしていた。決して軽率なことは言わない。自分のなかに、バレーに対する真理を持っている。それは動物的で、破天荒に映るコートでの振る舞いとは大きなギャップで、そこに彼の魅力はあるのだろう。
「常に自分がやるべきことは変わらず、ずっとやり続けていますね。去年のパフォーマンスの悪さから学んだところがあって、今、このパフォーマンスを維持していられるのは、その経験があってこそかもしれません。何をやらないといけないのか、何にフォーカスしないといけないのか、それが鮮明になっていると思います」
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