パリオリンピック・バレー女子日本代表のスタイルを分析 「リベロ2名」選出の理由とは? (3ページ目)
【パリ五輪にリベロ2名制で臨む理由】
――そしてパリ五輪に臨むメンバー12名に、リベロを2名、AP選手も含めると3名を登録しました。眞鍋監督は「併用でやった時のほうが数字がいいから」とおっしゃっていましたが、この選出についてはいかがですか?
福澤 セリエAやVリーグでも、リベロを交代制にしているチームはあります。特にレシーブがカギを握る日本女子にとっては、本戦でも質の高さを維持していかないといけない。1本目をどう上げるかが大事ですが、それに対しての最善策がリベロ2名制だったんでしょう。
VNLでもサーブレシーブが得意な小島満菜美選手、スパイクレシーブが得意な福留慧美、ふたりのスペシャリストがうまく機能していましたし、チームの生命線になっていると思います。
――男子もVNLで銀メダルを獲得しましたが、男女そろって国際大会で準優勝という結果についてどう感じますか?
福澤 こんな時代が来たのかと、ただただ驚くばかりです。見方を変えれば、男女ともに世界のバレーボールのトレンドが、日本が勝ちやすいものになってきたということなのかもしれません。かつては欧米化が進み、日本がパワーや高さで後れを取る時期が続いていたのが、戦術が高度化され、データもより詳細に分析されるようになった。攻撃のバリエーション、ブロックアウト、ディフェンス、連係、つなぎといった細かい要素が勝敗を分ける時代になってきました。
それらの細かいプレーは日本が得意とするところであり、高度な戦術も組み立てやすいんじゃないかと思います。VNLで男女そろっての銀メダルを獲ったことが、また世界のバレーボールのトレンドを大きく変えるターニングポイントになるんじゃないかとも感じています。オリンピックでもメダル獲得となれば、それは確実なものになっていくでしょう。
過去、女子が「東洋の魔女」と言われ、男子が1972年のミュンヘン五輪で金メダルを獲った時なども、日本がトレンドをつくっていた時代だったと思います。そこから数十年の時を経て、もう一度そういった時代が来ていると感じています。
【プロフィール】
福澤達哉(ふくざわ・たつや)
1986年7月1日生まれ。京都府京都市出身。洛南高校時代に春高バレーに2度出場、インターハイでは3年時に優勝を果たした。卒業後は中央大学に進学し、1年時の2005年に初めて日本代表に選出。ワールドリーグで代表デビューを果たすと、2008年には清水邦広と共に最年少で北京五輪出場を果たす。大学卒業後はパナソニックパンサーズに入団。ブラジルやフランスのリーグにも挑戦しながら、長くパナソニックの主力としてプレーした。2021年8月に現役を引退して以降は、解説者など活躍の場を広げている。
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著者プロフィール
中西美雁 (なかにし・みかり)
名古屋大学大学院法学研究科修了後、フリーの編集ライターに。1997年よりバレーボールの取材活動を開始し、専門誌やスポーツ誌に寄稿。現在はweb Sportiva、バレーボールマガジンなどで執筆活動を行なっている。『バレーボールスピリット』(そしえて)、『バレーボールダイジェスト』(日本スポーツ企画出版)、『球萌え。』(マガジンハウス)、『全日本女子バレーコンプリートガイド』(JTBパブリッシング)などを企画編集。スポルティーバで西田有志の連載を担当
【写真】女子バレー日本代表 フォトギャラリー
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