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パリオリンピック・バレー女子日本代表のスタイルを分析 「リベロ2名」選出の理由とは? (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

【「さすが」の選手起用と、逆転負けからの成長】

――選手の起用に関してはいかがでしたか?

福澤 「眞鍋監督、さすがだな」と思ったのは、セッターをパリ五輪予選の全試合でスタメン出場した関菜々巳選手ではなく、4年ぶりに代表復帰したベテランの岩崎こよみ選手に変更して臨んだことです。非常に大きな決断だったと思いますが、練習で「どの選手と合うのか」といったことを何度も分析して、緻密な調整をしていったんでしょう。それがチームに安定感をもたらし、勢いに乗れた。もちろん関選手も、五輪本番に向けてよりチームとの連係を高めているでしょうし、どちらがセッターを任されても十分にやってくれるはずです。

 眞鍋監督の就任以降、明確な目標設定を掲げ、世界に勝つためのバレーボールを追求してきていましたが、なかなか思うような結果に結びつかなくて苦しんでいる印象もありました。それがオリンピックイヤーで目指すべき形がバシッとハマりましたね。

――VNLではマカオで行なわれた第2週で、アジアのライバルである中国に勝ったことも大きかったように思います。

福澤 パリ五輪出場権獲得に向けて、トルコ戦同様に中国戦も間違いなくターゲットにしていた試合だと思います。今回のVNLでは、絶対に勝たなければいけない試合を勝ちきる強さが見られましたね。

―― 一方で、パリ五輪出場がかかったカナダ戦は、2セットを先取してからまさかの逆転負けとなりました。

福澤 試合を優位に進めていても、試合中に何度か訪れる勝負所での大事な1点が取りきれないと、一気に相手に流れがいってしまうことがあります。カナダ戦ではその1点が取れず、逆転負けにつながったんじゃないかと。前年のワールドカップもそういったシーンがあり、最後に押しきられてしまう試合があった印象です。ただ、逆にカナダ戦の負けが転換点となり、その後の戦いでの勝負所での強さにつながっていったように思います。

――あの敗戦があったからこそ、ファイナルラウンドでの躍進につながったということでしょうか。

福澤 そう思いますね。大会を通してチームのスタイルが確立されて、経験を次につなげて成長してきました。特に準決勝でのブラジル戦は、勝負所の1点を取るシーンが随所に見られ、全員バレーで銀メダルを手にすることができました。これまでぶつかっていた壁を乗り越えた瞬間だったように思います。単純に銀メダルを獲得できたという結果以上に、日本女子にとってさまざまな収穫があったと感じています。

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