日本男子バレーがパリ五輪の「前哨戦」へ ネーションズリーグ注目の試合と、チーム内サバイバルの行方 (2ページ目)

  • 坂口功将●文 text by Sakaguchi Kosuke

【世界ランク上位の日本は他国の"標的"に?】

 一方で、パリ五輪の出場権を獲得できていない国にとって、世界ランキング4位(大会前時点。以下同)と上位国である日本との対戦は、世界ランキングに関わるポイントを大きく獲得するチャンスでもある。下位のチームが上位のチームに勝利すると大きなポイントが加算され、逆に上位のチームが下位のチームに敗れると大きくポイントを失うシステムになっているからだ。

 ブラジルで行なわれる予選ラウンド第1週で日本が対峙する4カ国、アルゼンチン(現地時間5月21日/世界ランキング6位)、セルビア(同23日/同9位)、キューバ(同24日/同11位)、イタリア(同25日/同3位)はいずれも切符を手にしておらず、目の色を変えて向かってくるだろう。特に、前回の東京五輪で銅メダルを獲得したアルゼンチンや、2022年の世界選手権王者であるイタリアは国の威信を賭けて"花の都"に辿り着けなければならない。

 続く予選ラウンド第2週は福岡で開催され、日本にとってはパリ五輪を前にその雄姿を自国で披露する機会になる。クラブでのシーズンを終えたばかりとあって第1週は帯同していない石川祐希や髙橋藍も合流すると見られ、本番仕様により近づくだろう。ここで対戦するドイツ(6月5日/世界ランキング10位)やポーランド(同7日/同1位)などは、パリ五輪本番でメダルを争う可能性もありえるため、"五輪前哨戦"とも言える。

 フィリピンのマニラで開催される第3週も同じように、対戦する4チームのうちカナダ(現地時間18日/世界ランキング12位)、五輪開催国のフランス(同22日/同8位)、アメリカ(同23日/同2位)と出場権をすでに獲得している国が並ぶ。カナダは、イタリア・セリエAの2023-24シーズン準優勝に輝いたモンツァで髙橋藍とチームメートだった選手たちがレギュラーを務めており、ネットを挟んでの再会は白熱必至だ。

 東京五輪金メダリストのフランスは、日本が2022年世界選手権の決勝トーナメント(ベスト16)進出をかけた激闘が記憶に新しい。その際は2-3のフルゲームで惜敗しているだけに、今回は勝利をつかみたいところだ。アメリカとは昨年のパリ五輪予選最終日に対峙したものの、ともに予選突破を果たしていたこともあって消化試合の色合いが濃かった。パリ五輪直前となるここでは、お互いの力量を最大限に見計らう場になりそう。

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