髙橋藍に聞いた海外挑戦への思い。「シニアで通用するのか」の見方を覆す活躍の裏にあったプレッシャーとの闘い (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

 石川は日本代表で共にプレーする前から目標の選手だった。星城高校で"6冠(インターハイ、国体、春高バレーを2年連続で制覇)"を達成する姿をテレビで見て、「すごい選手が出てきた」と夢中になった。

「まず高校生になったら、石川選手のような大エースになりたいと思っていました。そうしたら2019年に、中央大学で石川選手も指導していた松永理生さんがコーチに就任したんです。その時には『石川選手はどんな選手か。どんな練習をしていたのか』と根掘り葉掘り聞いてしまいました(笑)。それを練習に取り入れていましたね」

日本代表では主将の石川(左)と対角を組んで戦った photo by Sakamoto Kiyoshi日本代表では主将の石川(左)と対角を組んで戦った photo by Sakamoto Kiyoshiこの記事に関連する写真を見る それから間もなく、日本代表で石川と対角を組むことになる。東京五輪前のVNLでは、会場となった現地イタリアのメディアに目標とする選手を尋ねられ、「超えなくてはいけない存在だと思うんですけど、身近にいるすばらしい選手ということで、石川キャプテンをお手本にさせてもらっています」とコメント。今でもそれは変わらないという。

「石川選手は、今季でイタリア・セリエAでのプレーが7シーズン目。世界屈指のリーグで、しかもトッププレーヤーとして活躍されているので、世界のバレーを間近で見られることは刺激になりますし、自分にとって大きなプラスです。そこで石川選手のいいところを取り入れて、自分の能力に加えていきたい。そして石川選手を超えることを目指していこうと思っています。

 石川選手のすばらしいところは、技術だけではなく、メンタル面の強さもあります。経験の豊富さもあるのでしょうが、本当に気持ちが強く、落ち着いている。それが『ここで1点ほしい』という時に決められる勝負強さにつながっているんでしょう。キャプテンとしても、僕がコート上で少し落ち込んでいる時に、すかさず声をかけて鼓舞してくれます。そういったところも見習いたいです」

 髙橋自身も「海外リーグでプレーしたい」という次の目標を持ち、全日本インカレ終了後、イタリア・セリエAのパドバに今季終了まで加入(期限付き)することを発表した。それもやはり、石川が中央大学在学中にセリエAに挑戦したことで意識し始めたという。加えて、イタリアでの石川のプレーを何度も視察した松永から「あのリーグのレベルの高さ、盛り上がりは絶対に経験したほうがいいよ」と言われたことで、その思いを強くした。

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