「今年は断然、古賀紗理那」。迫田さおりが推す女子代表のアタッカー陣 (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

――その2人以外では、NECレッドロケッツの古賀紗理那選手も、今季は総得点ランキング3位(362点:日本人選手ではトップ)と調子がいいように感じますが。

「すっごくいいです。近年のプレーを見た限りでは、アタッカーとしての序列は古賀選手よりも黒後選手が上になったのかな、と感じることもありました。ただ、今年は断然、古賀選手。『なんでこんなによくなったんだろう?』と思って直接聞いてみた時には、『(コロナ禍で)日本代表での活動が短くなったので、長い期間、一緒にセッターと練習できたからコンビがすごく合うんです』と言っていました。

 でも私は、技術とは別の面が影響していると思います。早くから活躍したことでメディアに取り上げられることも多かった中で、2019年のW杯など苦しんだ時間が長かった。どうしても結果がついてこずに心が一度折れてしまうと、立ち直るのはすごく難しいんですが、今季にしっかりパフォーマンスができたのは心の強さがあってこそ。今後もきっと『これぞ古賀紗理那』というプレーを見せてくれると思います」

今季、総得点ランキング3位と活躍したNECの古賀 photo by Sakamoto Kiyoshi今季、総得点ランキング3位と活躍したNECの古賀 photo by Sakamoto Kiyoshi――「これぞ」というプレーとは?

「私は外から見ているので、目の動き、助走の細かい動作、手首の使い方などは細かくわかりませんが、ゆったりとした助走からのスパイクのインパクトが速い。いきなりゼロから100の力が出る感じで、ブロックもタイミングが計りづらいと思います。打球も、速いだけじゃなくて重さもある。

 今季は強打だけでなく、ちょっと緩めて打つのも効果的ですね。すごく視野が広くなって、攻撃が多彩になっているように感じます。守備面も安定感が増しているように見えます」

――組み立てを考えるとはどういったことでしょうか?

「例えば負けていても、『25点まではまだある。こういうふうに戦っていけば大丈夫』というビジョンを、しっかり持っているように見えます。そのパターンがひとつだけじゃなくて、『我慢』『一気にいく』といったあらゆる場面に対応できる。それをタイム中などに、チームメイトにも伝えられているのもいいですね。内容もすごく具体的ですし。

 コートから離れたらすごくおちゃめな部分も多いんですが、コミュニケーションもとても大事にしていますね。プレーや言葉でチームをけん引できていますし、代表でも中心の選手になっていくのかな、と思います。もちろん古賀選手はさらに上を目指していると思います。これからの活躍が非常に楽しみです」

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