強気な西田有志の顔が涙でクシャクシャに。
初の日本一で歴史を変えた (2ページ目)
レギュラーラウンドで「サーブ賞(サーブ効果率)」を初受賞した西田は、この日も最初のサーブでエースを奪ったが、結局はフルセットで4点と、彼にしてはサービスエースが少なかった。パナソニックの川村慎二監督が、試合後に「とにかく西田と(マテイ・)カジースキに強いサーブがあるので、それをBパスやCパス(セッターが動かされるサーブレシーブ)でもいいから、直接の失点は最小限にしようと選手たちには伝えていました」と明かしたように、強力サーブに対応してきたことがわかる。
しかし西田は、ひとつの武器を封じられても止まらず、スパイクで得点を重ねていく。長らく日本代表をけん引してきた、パナソニックの清水邦広との"オポジット対決"は見ごたえ十分だった。清水がうまくコースを打ち抜けば、西田は跳躍力とパワーでブロックを吹き飛ばす。どちらが勝ってもMVPにふさわしい活躍ぶりだった。
筆者の脳裏に、16年前のある試合が蘇った。堺ブレイザーズとパナソニックパンサーズによる2004年の3位決定戦。1990年代に日本の大エースとして君臨した、ブレイザーズの中垣内祐一(現日本代表監督)と、その中垣内が日本代表を退いた2000年に代表デビューを果たした、パナソニックの長身サウスポー・山本隆弘による打ち合いになった試合だ。
中垣内は懸命にチームメイトを鼓舞し、自らも得点を重ねたが、成長著しい山本の強打が勝ってパナソニックがセットカウント3-1で勝利した。リーグ終了後に引退を発表した中垣内と、今年度の代表メンバーに選ばれている清水では状況も違うが、「新星が巨星を打ち破る」という構図が重なって見えた。
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