女子バレー古賀紗理那の「得点力」が
東京五輪メダル獲得のカギだ (2ページ目)
中田監督も東京五輪でのメダル獲得を公言するなか、自分がこのままではいけない。冒頭の「得点にフォーカスしたい」という古賀の言葉は、それを自覚しての言葉だったのだろう。
現在の女子バレーには、かつての木村沙織(185cm)のような大型で守備も任せられるアウトサイドヒッターが少ない。そのため、古賀や石井、黒後などサーブレシーブもできる180cm台のスパイカーは貴重な存在になる。古賀が、しっかりとした守備から得点を重ねる本来の姿を取り戻すことは、東京五輪での目標達成のために不可欠だ。
古賀の思いとは裏腹に、Vリーグで思うようなプレーができない試合が続いた。今季から新しくなった使用球との相性がよかったのか、サーブに関してはブレイクにつながるシーンは多いものの、スパイクでの攻撃に関しては能力を存分に発揮できているとは言いがたい。
ワールドカップの疲労もあって調子が上がらないのは古賀に限ったことではないが、NECは今季加入した大卒新人セッター・澤田由佳がスタメンで起用される場面が多く、古賀とコンビを合わせる時間が短かったことも影響しているだろう。金子隆行監督も、「オフェンスはアタッカーひとりで完成できるものではなく、サーブレシーブをする選手、トスを上げる選手との連係もある」と、チーム全体の成熟度を上げる必要があることを口にした。
レギュラーラウンド終盤の、昨年12月22日に岡山で行なわれた日立リヴァーレ戦では光明も見えた。セットカウント3-0で勝利したその試合で、久しぶりに気持ちよさそうにスパイクを打つ古賀の姿があった。試合後のヒロインインタビューでは、「タフな試合になりましたが、しっかり勝ててチームとして成長できました。ここから勝負が始まると思うので、チーム一丸となって戦いたいと思います」と話し、笑顔がこぼれた。
今季のVリーグは、東京五輪に向けた代表強化の時間を作るためにスケジュールが短縮され、すでにレギュラーラウンドは終わり、1月11日からプレーオフの「ファイナル8」が始まる。そこで古賀が「ポイントゲッター」として躍動すれば、日本代表でもその得点力を発揮できるはずだ。古賀にとって初のオリンピックとなる東京五輪で得点源となり、チームをメダルに導いてくれることを大いに期待したい。
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