天才セッター・宮下遥が考える
「代表復帰のためにいまやるべきこと」

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 V・プレミアリーグやV・チャレンジリーグI・IIを再編成して生まれ変わった「V.LEAGUE」では、12チームが東西に分かれて覇権を争っている。昨季の2部リーグで優勝し、ウェスタンカンファレンスに加わった岡山シーガルズの司令塔としてチームを引っ張るのが、セッターの宮下遥だ。

 中学生のときにVリーグ最年少デビューを飾り、15歳で全日本に初招集。「天才セッター」として名を馳せ、ロンドン五輪後からは正セッターとして活躍し2016年のリオ五輪にも出場した。だが、中田久美監督の就任2年目のチームでは招集が見送られた。

 24歳になった宮下は、自分がいない今年の全日本をどう見ていたのか。岡山シーガルズでどのように戦っているのかを本人に直撃した。

岡山シーガルズのセッターとして活躍する宮下岡山シーガルズのセッターとして活躍する宮下――新しくスタートした「V.LEAGUE」の印象はいかがですか?

「やるべきことをやれば、どのチームが相手でも勝てるチャンスはあると思っています。リーグ全体でも実力が抜きん出ているチームがないので、やりがいがあります」

――シーガルズは(12月15日時点で)2勝7敗、ウェスタンカンファレンスの最下位と苦しんでいますが、フルセットまでもつれる惜しい試合がいくつかありました。拮抗した試合で勝ち切れなかった原因はどこにあると考えていますか?

「シーガルズがセットを取れているときは、相手が引き気味か、まだ力を出せてないことが多いように思います。でも、相手がこちらの戦略に対応してくると、『さっきまでは決められたのに、守れていたのに』と慌てるところがある。先に2セットを取っても、すべての選手が『3セット取るまで何が起こるかわからない』と集中力を保ち続けないといけませんね」

――昨季は下部リーグで優勝を果たしましたが、チームの雰囲気は変わりしましたか?

「昨季は、勝ちよりもチームの課題を克服することに重点を置いていたので、試合中もメンバー交代が多く、若い選手を含めていろんなコンビネーションを試していました。連係がうまくいかないこともありましたが、チーム力が上がって結果的に勝ちがついてきたんだと思います。

 今季はここまで結果が出てないので、雰囲気が暗くなることもあります。でも、越えなければならない壁があることは全員がわかっている。練習でも、無理にチームを明るくしようとは考えずに、少しずつ前進していきたいです」

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