2018.12.28

全日本で圧倒的な存在感。
荒木絵里香は10年前より「成長している」

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 12月23日に行なわれた天皇杯・皇后杯バレーボール全日本選手権の決勝で、全日本女子代表の荒木絵里香(トヨタ車体クインシーズ)が圧巻のプレーを見せた。

ケガ明けでの出場ながら、18打数15得点で決定率83.3%という脅威の数字を叩き出し、ブロックでも5得点。試合は久光製薬スプリングスにセットカウント1-3で敗れたが、全日本の”不動のミドルブロッカー”の力をあらためて証明した。

 2014年1月に長女を出産し、34歳になった今年度も全日本で圧倒的な存在感を放った荒木に、世界選手権での戦いや2020年東京五輪への思いなどを聞いた。

ミドルブロッカーとして長らく全日本をけん引する荒木――今年度の全日本を振り返っていかがですか?

「世界選手権が一番強烈というか、すごく濃かったですね。そこから休む間がなくて今は目が回っている感じがしますが(笑)。あらためて、世界選手権のようなレベルが高い大会で戦える喜びを感じました」

――世界選手権の荒木選手のプレーを見たあるバレー関係者は、「今が全盛期」とも話していましたが。

「周りの方々にそう言ってもらえるのはうれしいですね。私も最近、10年前の北京五輪での自分のプレー映像を見る機会があったんですが、ジャンプの高さや動きのキレなどは今と比較にならないほどよかったです。でも、それ以外で向上している部分もあるので、トータルでは成長できていると感じています」

――その「向上している部分」とは?

「ひとつは精神面です。どんな場面でも気持ちが揺らがないように、メンタルをコントロールできるようになったと思います。技術に関しては、ブロックをする際にキル(シャットアウト)ばかりを狙うのではなく、『後ろの選手にどう拾ってもらうか』といったように、トータルでディフェンスを考えられるようになりました。拾ってからのつなぎやサーブなどの攻撃面も含め、すべてにおいてまだ伸びしろがあると考えています」

――荒木選手は、2012年ロンドン五輪で銅メダルを獲得したチームの主将でした。そんな荒木選手から、今年度の全日本で主将を務めた岩坂名奈選手にアドバイスをすることはありましたか?

「名奈がいろいろなことを考えて大変なのは痛いほどわかるので、自分ができる最大限の後押しをしようと考えていました。たとえば、(世界選手権前の)アジア大会で惨敗して、『この先どうするか』という話をしている時に、名奈が『ポジションごとに具体的なテーマを決めたらどうでしょうか?』と質問してくれて。私は、そういう時に先輩方に支えてもらえたのがうれしかったですし、実際にいいアイディアだと思ったので、どんなテーマがいいかを一緒に考えました」

――荒木選手と岩坂選手のポジション、ミドルブロッカーのテーマは何だったんですか?

「チームが勝つために、ミドル2人で1セットあたり何点取ればいいのか。4点か5点くらいだったと思いますが、コーチの方にブロックやサーブなどで稼ぐべき”ノルマ”を出してもらい、試合ごとに成果をフィードバックしていました」