2017.12.27

9月に急逝した仲間のために。
パナソニックが天皇杯優勝に込めた想い

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 堀江丈●撮影 photo by Horie Joe

「孝さん、優勝したよ!」

 12月24日、パナソニック・パンサーズの福澤達哉の声が、大田区総合体育館に響き渡った。

 平成29年度バレーボール天皇杯・皇后杯は、決勝で豊田合成トレフェルサを破ったパナソニックが5大会ぶりの優勝を果たした。

 第1セットを奪われたパナソニックは、第2、第3セットを連取して逆転。何度リードしても豊田合成が追い上げてくる苦しい展開で、優勝のかかった第4セットは5点差のリードを同点にされる場面もあった。しかし最後は、エース・清水邦広がサーブで崩し、ポーランド代表のミハウ・クビアクがバックアタックで熱戦に終止符を打った。

スパイクを決めて雄叫びを上げる清水邦広 パナソニックには、どうしても負けられない理由があった。

 今季のVリーグが開幕する直前の9月3日。2016年にパナソニックを引退した谷村孝(たにむら・こう)さんが、心室細動による急性循環不全により、35歳の若さでこの世を去った。谷村さんは中央大在学中に全日本に選ばれ、パナソニック入団後の2007年には35年ぶりにリーグ優勝を果たしたチームの主力メンバーでもあっただけに、チームに大きな衝撃が走った。

 今季は、谷村さんのユニフォームをベンチに置いて一緒に戦っている。天皇杯優勝を決めた直後にそのユニフォームを着た福澤は、ヒーローインタビューの最後に谷村さんの名前を叫んだ。福澤は試合後の会見でも、「僕も清水も、試合前にコートに入る時、真っ先に孝さんのユニに触って力をもらっています」と目を潤ませた。