ビーチバレー選手たちの悲痛な叫び。
隠蔽されかけた「不祥事」の顛末

  • 小崎仁久●文 text&photo by Kosaki Yoshihisa

「ビーチバレーボールは、その程度のスポーツだと思われてしまう。これでは、子どもたちに『一緒にやろうよ!』なんて勧められない」

"不祥事"の被害を受けた某選手は、肩を落としてうつむきながらそう語った。その表情に滲(にじ)ませていたのは、怒りよりもやるせなさだった――。

 日本バレーボール協会(JVA)は6月30日、公式サイト上に『ビーチバレーボール国際大会への出場申請漏れに関して』と題したトピックスを掲載した。それには、JVAが国際大会への出場を希望する選手のエントリー手続きを締め切り期限までに行なわず、結果として選手が大会に出場できなかったことについて、簡単な報告と謝罪が記されていた。

 世界バレーボール連盟(FIVB)が主催する『FIVBビーチバレーボール・ワールドツアー』は、賞金総額635万ドル(約7億3000万円)。年間20カ国、26都市で開催される、文字どおりの世界ツアーである。

 今回、その1大会において、JVAの軽率なミスによって選手の出場が阻まれた。エントリーのシステムが違うにせよ、極端なことを言えば、テニスの錦織圭やゴルフの松山英樹が、国内の統括組織(協会や連盟など)のミスで試合に出場できなくなったようなもの。そう考えれば、かなりの"不祥事"であり、大問題である。

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