大林素子さんが「愛のムチ」。女子バレーは東京へ大型選手育成を急げ (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by JMPA

韓国戦、奮闘する木村沙織韓国戦、奮闘する木村沙織

――韓国は日本に勝ったあと、優勝したかのように喜んでいましたが、韓国にとってもあの試合は大きかったのでしょうね。

「韓国も日本と同じく、絶対に4位抜けは避けたいと思って初戦に懸けていたと思います。1位抜けは無理にしても、2、3位で予選を抜けたかった。4位になって相手グループの1位チームと当たるのはいやだったはず。

 日本は準備万端で臨んだから、余計に打撃が大きかったのかな。『切り替えます』と言って臨んだ、1日空いての第2戦は勝利しましたが、切り替えきれなかった。

 なんでこれできないの、なんで拾えないの、なんで打てないのって、解説していてもわからなかった。たとえば、石井(優希)が攻撃するのに、相手ブロックがつく......普段ならリバウンドなり、コースを打つなりしているでしょう。技術で説明できない、彼女たちのメンタルの萎縮がすごくて。選手たちは負の連鎖に陥ってしまいました。」

――格上のチームに1セットも取れていないという事実があります。さらに格下のチームにも勝つことはできましたが、どれも接戦でした。

「本当に切り替えられなかった。『たら・れば』を考えちゃいけないけど、『あそこで勝っていれば、3位になれたじゃない』というのを、選手も私も言わないけれど、みんな思っていた。

 韓国とやってダメな状態では、それより格上のブラジルやロシアとやったときにも、早いうちに『あっ、やっぱりダメか』とあきらめてしまっていた。巻き返せる強いものを持っている選手がいなかった。石井が崩れた、リベロが崩れた、拠りどころにしていた守りの部分が崩れたところで、上位と対等に組み合える材料がなかったんです。

 4つ(サーブ・レセプション<サーブレシーブ>・ディグ<スパイクレシーブ>・ミスの少なさ)の世界一、どれも達成できなかった。トップチームが、その4つのカテゴリーでも上位にいる。強豪チームが攻撃だけでなく、守備でもそれをクリアしちゃった。この4年間で、海外のほうが、進歩が早かったなと感じました」

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