錦織圭と伊達公子「元世界4位同士」のささやかな交流 試合後の涙の言葉に「選手の気持ちとして、痛いほどわかる」 (3ページ目)
【やっぱり悔いもあると思う】
この日、錦織はティアフォーに4-6、4-6のスコアで敗れ、20年近くに及ぶキャリアに幕を下ろした。試合後にベンチに崩れるように座った錦織は、タオルに顔をうずめ、激しく肩を震わせる。
「泣くなんて、まったく思っていなかった」という彼の、感情のダムを決壊させた思い......それは「喪失感」だったという。
「5歳からテニスを始めて、これだけ積み上げてきた30年が、ここで終わっちゃうんだな。本気でプレーすることはもうなくなるんだなという喪失感が、一気に押し寄せてきた」
試合後のコート上、涙の乾かぬ顔を上げ、錦織はそう言った。
錦織のこの言葉に対し、伊達さんは「選手の気持ちとして、痛いほどわかりますね......」と、深い共感を示した。
「ただ単に、テニスができなくなる寂しさだけではなく、やっぱり悔いもあると思うんですよね。もう一度100%の状態で、それも1試合ではなく、1大会なり通年なりで戦いたいという思いも、強かっただろうと思います。
だからこそリハビリもがんばれたし、ATPチャレンジャー(ツアーの下部大会)にも出続けることができたと思うので......それは痛いほどわかります。いろんな複雑な思いも、いざ終わるとなったらこみ上げてくるので。
きっと、(2014年)全米オープンの決勝の後悔も、ここから大きくなっていくんじゃないかなと思うんですね。グランドスラムのファイナリストになったことが、日本テニス界にとって大きな出来事なのは間違いないし、走り続けている間って、本人のなかでも達成感があったと思うんです。ただ、これが引退して1年、2年と時を重ねると、別の意味合いも帯びてくる。
時の流れは速いので、2~3年経ったら、どんどん次の世代の選手が出てくると思います。ましてや、ヨーロッパやアメリカに比べたらテニスの歴史も浅い日本という国で、今後も長く語り継がれていくかどうかは、タイトルを持っているか否かがすごく大きく関わると思うんです。それは私も含めてですけれども、やっぱり、準優勝とタイトルを持っているかの違いというものは、時間が経つにつれて大きく感じていくのではと思いますね」
3 / 4

