検索

錦織圭に憧れた「元・天才少女」奈良くるみの思い出 「『SLAM DUNK』を貸してくれたのは、圭くんだった」 (3ページ目)

  • 内田 暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【ああいうふうになりたい】

 がんばりたいのに、がんばれない──。

 そんな切ない劣等感を抱えていた奈良さんの目に、当時の錦織は「楽しそう」に映ったという。同時に、誰よりも緻密に、誰よりも真摯にテニスに向き合っている姿も、12~13歳の奈良さんの目はしっかりと捉えてもいた。

「今思えば、あれだけテニスに打ち込める環境だったので、私ももっとがんばれていたらなぁとは思うんです。圭くんはそういう意味では、誰よりも前向きに過ごせていたんだと思います。

 テニスへの取り組みという点では、圭くんは本当に誰よりも真面目にやっていたイメージがあります。

 私の印象にすごく残っているのは、たとえば『プランクを1分、維持するように』と言われた時、私も含め、みんなはアバウトにやってしまう。でも圭くんは、腕時計できっちり時間を測ってやっていました。テニスに関しては、その頃からすごく真面目というか、取り組み方が人とは違った気がします。

 みんな、ちょっと反抗期的な年頃でもあったので、コーチから言われたことにイラっとすることもあったと思うんですね。でも、そんななかでも圭くんは、言われたことはしっかりやっていた印象でした」

 奈良さんにとっては、日本の家族への郷愁を募らせながら、必死に前を向こうとしていたIMGアカデミーでの日々。そのなかで、コートを躍動する錦織は純粋に憧れの対象であり、お手本でもあり、もしかしたら希望だったのかもしれない。

 表情に明るい色を灯して、奈良さんは脳裏に浮かぶ思い出を、次々に言葉へと置き換えていく。
 
「私、圭くんのテニスをめっちゃ真似してたんですよね。私は真似が得意というか、上手な人を真似してうまくなるタイプだったんです。

 圭くんのテニスを見たあとで練習すると、すごくイメージがいいというのは、子どもの頃からありました。やっぱり目の前のうまい人だったし、テニスが魅力的だったので、『ああいうふうになりたいな』って思っていたと思います」

3 / 4

キーワード

このページのトップに戻る