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錦織圭に憧れた「元・天才少女」奈良くるみの思い出 「『SLAM DUNK』を貸してくれたのは、圭くんだった」 (2ページ目)

  • 内田 暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【圭くんがうらやましかった】

「IMGアカデミーで生活していくなかで、圭くんとも話すようになったし、そこからはいろいろと優しくしてもらいました」と奈良さんが述懐する。

「圭くんからは、漫画やDVDをよく借りたりしました。『SLAM DUNK』を貸してくれたのは、圭くんだったかな、たしか。お笑い系のDVDもよく貸し借りしていました。あとは週に一回、当時の盛田ファンドのコーチだった米沢徹コーチのご自宅でカレーを食べる、という習慣があったんです。そこでみんな集まるんですが、そういう時にはテニスの話はほとんどしなかったですね」

 異国の閉ざされたコミュニティに身を置く少年・少女たちが、肩を寄せ合い助け合う──。奈良さんの回想をうかがうと、そのような微笑ましい光景が浮かぶようだ。

 もちろんそれは、一部では事実だったろう。ただ現実は、そこまで単純ではなかったようだ。

 IMGアカデミーは、よくも悪くも弱肉強食の実力主義。『テニスの戦績』という目に見える結果が、思春期のテニスプレーヤーたちの立場や心の有り様に、どうしようもなく影響を及ぼしていった......。

「私にとって、正直、IMG時代は『挫折の時期』だったんです。完全にホームシックで、家族が恋しくて仕方なかった。特に女子寮は、ドアを開けたらもう目の前がテニスコートだったので、逃げ場がなくて......。そんな状況もあったので、毎日を楽しめなかった思い出があります。

 圭くん本人にも言ったことがあったと思うんですが、けっこう彼がうらやましかったんですね。自分はがんばれていないのに、圭くんは活躍して結果も残している。その感情はたぶん、フミくんや(富田)玄輝くんも同じだったと思います。自分はがんばれないのに、圭くんはすごくがんばっているというのが、なんかうらやましくて、悔しい思いもあったので......。

 圭くんはオレンジボウルなどの世界的なジュニアの大会でも結果を出していたし、アカデミーでもトップ選手たちと練習できたりしていた。そういうのが可視化されるので、やっぱり、圭くんはすでに世界から認められているんだなぁと感じたりしました」

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