杉山愛が女子テニス日本代表監督として奮闘中「代表戦の盛り上がっていないスポーツの将来は危うい」 (3ページ目)
【選手にとっても魅力あるチームに】
ファイナルズ予選進出を決めた直後、杉山監督は、「ここからが本当のスタート」と語ってさらに兜の緒を締めた。2024年4月12日と13日に開催される予選では、カザフスタンとホーム(日本での開催地はまだ決定していない)で対戦することになった。
カザフスタンには、2022年ウインブルドンで優勝したエレナ・リバキナ(WTAランキング4位、11月27日付/以下同)がおり、彼女が出場してきた場合、日本にとってかなりの強敵となる。
「どこの国と当たってもタフですが、そのなかでもカザフスタンは十分(日本に)チャンスのある対戦国だなと。さらにホームを引けたので、運はまだ味方しているかなと感じています。みんなの状況をどれだけよくしていけるか、チームとして選手たちとコミュニケーションをとっていくのがすごく大事だと思います」
現在、日本女子選手で世界のトップ100に入っているのは、29歳の日比野菜緒(95位)だけだ。また、産休で戦線を離脱しランキングが消滅している大坂なおみは、2024年シーズンからカムバックする予定だが、日本代表への復帰は、もう少し先になるだろう。ダブルスでは、青山修子(WTAダブルスランキング12位)と柴原瑛菜(同15位)が世界トップレベルの実力を持っており、日本は第5試合までもっていければ勝機を見出せる。
「うまくかみ合って、みんなが力を出せればチャンスがあると心から信じています。プロセスのなかで、個々が力をつけていくことがとても大事なこと。100位以内に4~5人送り込みたいというのは、私の任期である4年で、やっていかないといけないことだと思っています」
また、観客側にとってはもちろん、プレーヤーである選手たちにとっても魅力的なチームにならなくてはいけないと語る。
「今まで日本代表チームの魅力は、正直下がっていたと思っています。そこに入りたい、そこで戦いたいと、どれだけの人が本気で思っていたのかなと、いろいろな選手とコミュニケーションをとったなかで感じました。やっぱりそこでプレーしたいんだという魅力的なチーム作りが大事で、そこから激しいコンペティション(競争)が生まれる。
日本国内でも切磋琢磨し刺激し合って、われこそが今度は(日本代表で)プレーをするぞという、いい意味で意識し合うことが、相乗効果につながっていくはずなのです。みんなにチャンスはあると思います。本当に魅力あるチーム作りが、優勝への一番の近道かな」
杉山監督が目標に掲げているのは、将来日本チームをBJKカップ優勝へ導くことだ。今はその道半ばで、ファイナルズの舞台へ上がらなければ目標へ近づけない。もちろん簡単な道のりではないが、杉山監督のリーダーシップが発揮されれば、一歩ずつ目標へ歩みを進められるだろう。
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