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大坂なおみの現状に「危ういものを感じる」。海外ジャーナリストが「引退もあるかも」と語った理由とは? (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「ライジングスターでオンコートインタビューをした時、彼女はややシニカルなジョークを言い、それが観客にはあまり受け入れられなかった。そのことをよく覚えています。でもそれが、彼女が自分を表現する方法なのかなと思いました。本来はシャイで、人前で話すのが苦手な少女が、緊張を取りのぞくためにああいうジョークを言うのかなと」

 その約2カ月後の全豪オープンで、マッカーベル氏はあらためて大坂を取材した。当時の大坂は予選からの出場だったが、すでに"次代のスター候補"として注目を集める存在。なによりアメリカでは、"ネクスト・セリーナ"としての期待感が高かったという。

 アメリカに住む者と、それ以外の人々の理解の乖離として大きいのは、この"セリーナの後継者"という肩書の重みだろう。全米オープンで25年のプロキャリアに幕を引いたセリーナ・ウィリアムズは、テニスやスポーツの枠に収まらぬ、アメリカを象徴するスーパースターだ。

 黒人、貧しいゲットー育ち、女性......。それら複数の"マイノリティ"としての顔を持つ彼女は、既成概念や先入観を打ち破る、多様性や革新のシンボル的存在。そのセリーナも30半ばを迎え、次なるスターを求める機運がアメリカ国内で高まっていた時に現れたのが、大坂なおみだった。

「2016年の全豪オープンは、なおみが本格的に"ネクスト・セリーナ"と呼ばれ始めたタイミングだと思います。セリーナもたしかこの大会の会見で、なおみについて聞かれていました。

 人種的マイノリティであること、姉がいることや家族の足跡、そしてプレースタイルの面でも、なおみはウィリアムズ姉妹にそっくりでした。なので、彼女がセリーナの後継者と目されるのは自然だったんです。

 ただアメリカでは、セリーナの人気は絶大。もちろん一面では、ウィリアムズ姉妹と比べられることは光栄でしょう。ただ、重圧などもう一方の面では、"オーマイガッド"的状況です」

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