大坂なおみ、苦手なクレーコートで新技に挑戦。ナダルを見て学び、動きも少々ぎこちないが「楽しんでいる」 (2ページ目)
クレー初戦はわずか1時間
実戦経験と自信が不足するなかで挑んだ全仏では、大会直前に「全仏期間中の記者会見をボイコットする」と表明し、物議をかもした。その帰結として昨年の全仏は、2回戦を前にして「事態を収拾させる唯一の手段」として自ら身を引く。誰にとっても、やるせなさの残る結末だった。
それら甘酸入り混じる過去の経験を結果に昇華させるべく、今春の大坂はスペインのマヨルカ島で10日間の練習とトレーニングを経てから、マドリードに入ってきた。
「最初の数日はぎこちなかったけれど、徐々にやり方がわかってきた。コーチが計画的に、私を導いてくれている」
マドリード大会開幕前に、マヨルカでの成果をそう語る大坂は、「新しいことをいくつか試してもいるの」と明かした。
その詳細については、「サプライズを台無しにしたくないから」と口を閉ざすも、「(ラファエル)ナダル(スペイン)の試合をたくさん見ている」と、赤土の王者のプレーにインスピレーションを得ていることを示唆した。
それら万全の準備期間を経て挑んだマドリード大会初戦で、大坂はマヨルカキャンプの成果を発揮した。
初戦の相手は、先週のイスタンブール大会でツアー初優勝を手にしたアナスタシア・ポタポワ(ロシア)。深いボールを早い展開で打ってくる21歳のストローカーだが、大坂は焦ることなく腰を据えて打ち合い、コートから逃げていく鋭角のショットで相手を追い出してはオープンコートに楽々とウイナーを打ち込んでいった。
特に第2セットでは、やや疲労の色を見せる相手のミスをも誘い、瞬く間にリードを広げていく。広角に打ち分けるサーブからの展開も盤石で、6−3、6−1のスコアで完勝。クレーコートでは異例なまでに早い1時間1分の試合時間も、大坂の安定感を示していた。
危なげない試合展開と、望んでいたとおりの結果。こうなると気になるのは、大会前に大坂がチラリと口にした「新しい試み」だ。
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