大坂なおみに飛んだ「ヤジ」を考える。彼女が流した涙は「メンタルの弱さ」だけで片づけてはならない (3ページ目)
観客は温かい拍手で応えた
セリーナの涙から21年たった今、彼女の後継者と目される大坂が、同じコートで涙にくれた。
悲しい歴史は、繰り返されたように見える。ただ、ふたつの光景は、似ているがゆえに重なった時、明らかな相違点を浮き彫りにもする。
大坂がコートを去る時、オンコートの司会者は「ここにいる1万人の観客のなかのひとりの声は、残りの9999人によってかき消されるよ!」とエールを贈った。
その言葉が真実であることは、大坂に向けられた歓声と、ぬくもりのこもる拍手が証明していた。
ファンに向け、「ありがとう」と幾度も繰り返す大坂が流した涙----。それは必ずしも、悲しみの涙だけではなかったはずだ。
伊達公子は大坂なおみのメンタルヘルス問題をどう思う。
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