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ベストのプレーができていない錦織圭。東京五輪までは「立て直すことしかできない」

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by PA Images/AFLO

 ウインブルドン2回戦で、錦織圭(ATPランキング53位、6月28日づけ/以下同)は、ジョーダン・トンプソン(78位、オーストラリア)に、5-7、4-6、7-5、3-6で敗れた。ウインブルドン出場は12回目になる錦織だが、2回戦で大会を去るのは2015年以来となった。

 能面のように表情を強張らせたまま、言葉少なに試合を振り返った錦織圭。彼にとって、おそらく受け入れ難い敗戦だったに違いない。

予想よりも早くウインブルドンを去ることになった錦織圭予想よりも早くウインブルドンを去ることになった錦織圭 トンプソンとは、2017年ブリスベン大会準々決勝(ハードコート)で一度だけ対戦したことがあり、その時は6-1、6-1で錦織の圧勝だった。

 これまでトンプソンは、4回出場したウインブルドンのすべてで初戦敗退だったが、2019年には、ウインブルドン前哨戦のATPスヘルトーヘンボス大会(オランダ)で準優勝し、さらにATPアンタルヤ大会(トルコ)ではベスト4に進出して、少しずつグラスへの適性を示していた。

 とはいえ、それでも錦織の心のどこかには、トンプソンに負けるはずはないという思いがあったはずだ。その思いとは裏腹に、トンプソンは好調なプレーを見せつけ、2回戦で最高時速213kmを記録し、サービスエース13本を決めたサーブは特筆すべきものだった。

「(トンプソンのサーブが)あれだけ伸びてくるのと、両サイド(デュースサイドとアドサイド)のワイドがあり、ティー(センター)へも思いきり入って来られるので、ハード(コート)でやるよりはサーブの脅威は感じました」

 こう振り返った錦織に対してトンプソンは、大事な場面でフォアサイドにサーブを入れて錦織のリターンミスを引き出した。錦織のフォアハンドはグリップが厚いため、サーブのバウンドが滑るように弾むグラスコートでは、リターン時にスウィートスポットをはずしてしまう可能性が高く、そこを巧みに突いた。

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