「錦織圭は誰よりも速い」。スーパープレーを生み出すスピードの秘密 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


 3回戦では、超攻撃テニスの騎手とも言えるステファノス・チチパス(ギリシャ)の猛攻を、時にロブでしのぎ、時に攻守一体のカウンターで相手コートに叩き込んだ。

「圭は、誰よりも速かった。僕はこれまでトップ5の選手とも戦ってきた。ラファエル・ナダル(スペイン)やアレックス・デミノー(オーストラリア)を最も速いと思っていたが、圭はもっと速い」

 試合後のチチパスは、勝者を称える言葉しか持たなかった。

 錦織の武器が卓抜したスピードであることは、多くの対戦相手や識者たち、そして本人も認めるところである。ただそれは、単に"足が速い"ということとは少々、異なるようなのだ。

 実は、錦織は以前に「僕、短距離走のタイムは、そんなに速くはないです」と打ち明けたことがある。

 その事実を裏付けるかのようなデータも、3年前の全豪オープン時に公開されていた。それは、同大会のデータ解析チームが過去3年間(2014年〜2016年)の全豪オープンの試合をもとに、「3メートル以上のランニングスピードの最速値と平均値」を算出した順位である。

2 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る