ジョコビッチ擁するセルビアに完敗。予選敗退も日本が得たモノは大きい (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

 そして迎えた、試合当日――。開戦1時間前に発表されたセルビアのメンバーは、シングルス1にジョコビッチ、そしてシングルス2はランキング的には3番手にあたるフィリップ・クライノビッチだった。

 またダブルスには、今大会を最後に引退を表明しているヤンコ・ティプサレビッチと、ビクトル・トロイツキのベテラン2選手を起用。これは、ランキング上でシングルス2番手、ダブルスでは最も高いドゥシャン・ラヨビッチが「単複のいずれにも絡んでくるのでは」と見ていた岩渕監督の予想を、やや外してくるものだったろう。

 一方の日本は、シングルス1に西岡、そしてシングルス2には杉田を起用。ダブルスは前日に引き続き、マクラクランと内山が名を連ねた。

 このオーダーの読み合いとメンバー選出に関して言えば、セルビアより先に初戦を戦っていた日本が不利だった感は否めない。実際にセルビアのネナド・ジモニッチ監督は、「日本のシングルス2が杉田であることは予測できていた」と言った。

「フランス戦で内山が単複両方に出たことは驚きだった。日本はフランスよりも私たち相手のほうが勝つチャンスがあると見て、杉田を温存したのだと思った」

 そうしてシングルスに杉田が出ると確信した時、セルビアの監督には選手起用に関する迷いが消えたかもしれない。杉田はラヨビッチには直近の対戦で完勝しており、逆にクライノビッチとは3度対戦して3度敗れていたからだ。

 そのシングルス2の顔合わせで、精神的に一層の重圧を覚えたのは、杉田のほうだった。

 西岡がフランス戦で相手エースのガエル・モンフィスを破ったとはいえ、ジョコビッチから勝利を期待するのはあまりに酷だ。だからこそ「僕が取らなくてはならない」と背負いこんだ責任は、杉田のプレーを幾分空回りさせただろう。

 対するクライノビッチは、強烈なフォアハンドを軸にボレーやドロップショットも織り交ぜる緩急自在のプレーで杉田を揺さぶってくる。いずれのセットでも先にブレークしたクライノビッチが、主導権を掌握したまま、6−2、6−4で先勝を手にした。

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