世界女王であり続ける経験の積み重ねが、大坂なおみをさらに強くする
大坂なおみは世界1位としての重圧も感じながら全仏に臨んだ
「がっかりしている度合いは、1から10で言えば、今は100ぐらい」
大坂なおみ(WTAランキング1位/5月27日づけ、以下同)は、初めて第1シードとして臨んだグランドスラムを不本意な形で終え、硬い表情でこう語った。
全仏テニス(ローランギャロス)3回戦で、大坂はカテリナ・シニアコバ(43位、チェコ)に4-6、2-6で敗れ、全仏で自身初のベスト16進出はならなかった。
立ち上がりは決して悪くなかった。しかし、第2ゲームに1回、第6ゲームに2回、第10ゲームに4回、合計7回あったブレークポイントを、大坂はことごとく逃してしまう。結局、第1セット第9ゲームで先にサービスブレークを許し、続く第10ゲームでは、0-40としてブレークバックの機会を得たものの取りきれず、セットを先取された。
ハードコートなら決まるはずの大坂のストロークは、シニアコバが足をスライディングさせながら追いつき、スライスのディフェンスショットで深く返される。大坂は粘り強くラリーの組み立てをするより、強打に頼ってストロークをネットにかける場面が多かった。
チャンスを逃した大坂は、2回戦ビクトリア・アザレンカ戦の疲労も残っていたのか動きが重くなっていく。そして、第2セット第4ゲームからシニアコバが5ゲームを連取すると、最後は大坂のフォアハンドストロークがあえなくベースラインを越えて、勝負は決した。
大坂は、フォアハンドのウィナー12本を含む25本のウィナーを決めたが、38本もミスを犯し、そのうち20本がバックハンドのミスだった。一方、シニアコバは、ウィナーこそ12本だったが、ミスを13本に抑え、とりわけバックのミスは3本と驚異的に少なかった。
「ブレークポイントをセーブして、サーブをキープできてよかった。彼女(大坂)をベースライン後方に下がらせておきたかったし、なるべく多くのボールを打ち返すようにして、イージーなボールを打たせないようにした」
こう語ったシニアコバは、2018年に全仏とウィンブルドンの女子ダブルスで優勝し、現在ダブルスで世界1位の選手だ。3年ほど前からシングルスでも結果を残し、2018年10月には自己最高の31位を記録している。
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