「いつかこの舞台に」。大坂なおみは思い出の地に3年で戻ってきた

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 大坂なおみがシンガポールのWTAファイナルズの会場でプレーするのは、3年ぶりのことである。

 2015年......まだ世界の200位前後だった大坂は、大会に先駆けて行なわれるエキシビション「ライジングスター招待試合」に、次代のスターとして招かれた。そこで彼女は、キャロリン・ガルシア(フランス)を決勝で破り、頂点に輝く。

ファイナルズ出場選手8人で記念撮影をする大坂なおみファイナルズ出場選手8人で記念撮影をする大坂なおみ このタイトルが彼女にとって特別だったのは、プロサーキットに出て4年になる大坂が、初めて手にする"優勝"の肩書きだったこと。同時に、このシンガポールの舞台は、まだグランドスラム本戦出場の経験がなかった当時の彼女に、世界の頂上決戦のステージとはいかなるものかを目に見える形で示した。

「私もいつか、この舞台に立ちたい」

 スポットライトに照らし出されるきらびやかなコートに、戻ってくる日を彼女は誓う。そのときの彼女は、18歳の誕生日を迎えたばかり。テニスの世界で18歳は、上限なく好きな数だけ大会に出られる、まさに大人として認められる年齢である。

 それから3年後――21歳になった大坂は、18歳のときに誓いを立てた地に戻ってきた。かつての「ライジングスター」から成長し、全米オープン優勝者、そして世界のトップ4として......。

 WTAファイナルズは、年間上位8選手のみが集う、長いシーズンのラストを彩る文字どおりの最終戦だ。1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)は椎間板ヘルニアのため欠場を強いられたが、ウインブルドン優勝者のアンジェリック・ケルバー(ドイツ)をはじめ、全豪覇者のキャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)、2度のウインブルドン優勝を誇るペトラ・クビトバ(チェコ)、昨年の全米優勝者のスローン・スティーブンス(アメリカ)など、グランドスラム・タイトルホルダーたちが出場する。

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