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大坂なおみ、「未来の女王候補No.1」に。
7度目の挑戦で初タイトル (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

「すごく緊張していた」と後に明かした決勝戦は、いきなりブレークを許す雲行き怪しいスタートとなる。だが、ナーバスになっていたのは、キャリア最大のタイトルに挑む「早熟のライバル」も同じである。

 大坂がミスを減らして粘り強くボールを返すと、カサトキナにもミスが増え始めた。その相手の心理を読み取ったか、大坂はパワーショットをあえて封印し、サーブも球速より安定性を重視する。不要なリスクは負わず、それでもブレークポイントなどの要所では強打で攻めた大坂が、第1セットを6-3で奪った。

 第2セットに入ると大坂は、安定のプレーに攻撃性もブレンドし、立ち上がりから相手を突き放す。

「第2セットの4-1になったころから、ようやく緊張が取れて、いつも通りのプレーができるようになった」と後に笑った大坂は、最後は豪快なスイングボレーを相手コートに叩き込んだ。

 ボールが"イン"であることを指し示すラインパーソンの腕の動きと、それに続く「ゲームセット」の主審のアナウンス――。20歳の初々しい女王の誕生に熱狂する観客の大歓声がスタジアムを満たすなか、その中央に立つ勝者だけが、まだ試合が生む緊張感の余韻のなかにいるようだった。

「こんにちは、私の名前はナオミです」という、おそらくは大会史上初であろう自己紹介から始まる優勝スピーチに、記者会見やフォトシューティング......それらを慌ただしくこなした大坂は、優勝の2時間半後には大会が用意したプライベートジェットに乗り込んで、次の戦いの地であるマイアミへと旅立った。

 7度目の正直で手にした初優勝も、今や「未来の女王候補」に満足感を与えることはない。つらねた7つの勝利のその先に続く物語を、彼女は住み慣れたフロリダの地に描きにいく。

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