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大坂なおみ、「未来の女王候補No.1」に。
7度目の挑戦で初タイトル (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

 振り返れば今大会は、大坂の精神的な成長を世界に示す勝利で幕を開けた。彼女が1回戦で対戦したのは、元世界1位のマリア・シャラポワ(ロシア)。5度のグランドスラム優勝を誇る女子テニス界のスーパースターは、幼き日の大坂がその精神面の強さに敬意と憧れの目を向けた存在だ。

「どんな状況でも表情を変えず、常にクールに戦い続ける彼女を見て感動し、自分もそうしたいと思った。マリア(・シャラポワ)のメンタリティと、セリーナ(・ウィリアムズ)のプレーを組み合わせた選手になれたら、どんなにかっこいいだろうって......」

 テレビに映るシャラポワのポーカーフェイスから「多くを学んだ」大坂は、その成果を"お手本"に提示するかのように、コート上で冷静に振る舞った。追い上げられても精神的に乱れることなく、いずれのセットも競った展開から最後に突き放して、シャラポワから勝利を得る。

「以前の私だったら、追い上げられた時点でイライラしていたと思う。精神的に強くなったことを示せたのがすごくうれしい」

 試合後に大坂は、勝因として真っ先に自身の内面の変化をあげた。

 子どものころに憧憬(しょうけい)を募らせた相手を乗り越えたことは、これ以上ない成長の証(あかし)として、大坂に自信を植えつける。また、初戦の相手がシャラポワだと知った時点で「そこから先のドローを見るのはやめた」ことも、目の前の試合のみに集中できる環境を必然的に作り上げた。

 2回戦で2012年ウインブルドン準優勝者のアグニエシュカ・ラドワンスカ(ポーランド)を、準々決勝では世界5位のカロリナ・プリスコバ(チェコ)を破った大坂は、準決勝では世界1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)をもストレートで撃破する。新たなスター誕生の予感にファンや関係者は色めき立つが、周囲の喧騒をよそに、大坂は淡々と、なおかつ柔らかな笑みをまといながら、同期のダリア・カサトキナ(ロシア)が待つ決勝戦へと歩みを進めた。

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