全豪の錦織戦がターニングポイント。フェデラーが復活の1年を振り返る (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 自分もツアーの仲間入りをしたフェデラーは、2017年ATPファイナルズに至るまで、ナダルやノバク・ジョコビッチ(セルビア)、錦織、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)といったさまざまな世代の選手と戦ってきた。そして、多くのライバルたちとの戦いを経て、現在のフェデラーは「とても穏やかな気持ちなんだ」という今までになかった自分を認識している。すべてを成し遂げてきた彼だからこそ至った境地といえる。そして、このようなメンタルを持ち合わせるフェデラーを倒すのは、決して容易なことではなく、実際、今季の対トップ10選手との成績は14勝2敗と圧倒していた。

「いろいろなことをくぐり抜けてきて、より理解が深まった。今は違う境地で(ツアーを)楽しんでいる。ここ(ATPファイナルズ)のような世界でのベストな大会で勝ち、注目を浴びていることに満足を覚える。もちろん、ここでプレーできることが普通のことではないこともわかっている。この年齢になっても実際に(高いレベルで)プレーできていることに感謝している」

 ここ15年ほど、フェデラーが男子ワールドテニスツアーを牽引し、テニス全体のレベルを引き上げてきたひとりであることに異論を唱える者はいないだろう。2017年は、31歳のナダルとともに、さらに男子テニスのレベルを上げたことは驚嘆に値するものだった。

 2018年シーズンには、ケガによって戦線離脱していたジョコビッチ(12位)、アンディ・マリー(16位、イギリス)、スタン・ワウリンカ(9位、スイス)、そして、来月28歳になりプロ11年目の錦織(22位)らが復帰する予定だ

「カムバックすることは、体にとっていつも挑戦となる」とフェデラーが指摘するように、彼らが2017年のフェデラーやナダルのように劇的なカムバックをできる保証はない。だが、彼らが復帰してトップを目指すことによって、再びツアーが興味深いものになるのは間違いない。

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