テニス界の超秀才・ラオニッチが語る、錦織圭と男子ツアーの近未来 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 同時に僕らは、ケガに悩まされてもきた。彼が今いる状況やそのつらさもわかっているし、だからこそ彼のことを、より尊敬もしているんだ。なぜなら彼はケガをするたびに、より強くなって戻ってくるからね。

 そんな僕らに足りないのは、真の頂上決戦だと思う。僕らはまだお互いに、世界の1位や2位ではない。グランドスラムやマスターズのような大きな大会の決勝で対戦したいね。

―― 今年はロジャー・フェデラー選手(スイス)やラファエル・ナダル選手(スペイン)が復帰し、同時に若手の台頭も目立つシーズンです。現在のテニス界の勢力図をどう見ていますか?

ラオニッチ 判断が難しいところだね。なぜなら過去16ヵ月、常にトップ選手の誰かが欠けていたから。昨年はロジャー、次いでラファが抜け、今年は僕に圭、スタン(・ワウリンカ/スイス)やアンディ(・マリー/イギリス)、ノバク(・ジョコビッチ/セルビア)がケガをした。

 そのぶん、若い選手たちがチャンスを掴める状況にある。僕らが若手として出てきた10年前のように、常にロジャーやラファ、ノバクが支配していた状況とは変わってきている。僕らのころは、本当にチャンスが少なかったからね。

 パワーバランスそのものが変わったかと言われれば、そんなに変わってはいないと思う。はたして離脱中のトップ選手たちがふたたび、同時期に万全な状態でツアーに戻ってこられるのか......それはわからない。いずれにしても、他の選手に与えられたチャンスが以前と比べて大きくなったのは間違いないと思う。

4 / 7

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る