錦織圭の今季前半。過去5年を比べてわかる「クレー」での急成長 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 その後はワシントンDCで優勝したものの、シンシナティ・マスターズを欠場。全米オープンの初戦敗退を挟み、上海とパリのマスターズも3回戦で敗退。オフシーズンに徹底してフィジカルを鍛え、ツアーの合間にも複数回のトレーニング期を設けてはいたが、シーズンの後半戦では、蓄積した心身の疲労を隠しきることはできなかった。

 実は、錦織は例年、シーズン中盤戦にあたる5月~7月上旬をどう過ごすかを、ひとつの課題ととらえている。

 拠点のフロリダから離れてのホテル住まい、わずか2ヶ月の間にグランドスラム2大会、マスターズ2大会、さらにATP500も2大会戦う過密スケジュール......。厳しい条件が重なる初夏の欧州は、「いつもケガに近いことが起きている」鬼門の地だ。

 その課題克服のため、今回の欧州遠征で取った策が、"チーム・ケイ"にロバート・オオハシという、新たなカードを加えることである。ハンマー投げの室伏広治を指導した実績を持つオオハシは、広くは『理学療法士』の肩書きで知られているだろう。だが、チーム・ケイでの役割は、『ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト』。つまりは、錦織のフィジカル強化を担っている。

 錦織がオオハシに師事するのは、今回が初めてではない。2011年末にはトレーニングのため、オオハシが拠点とする極寒のシカゴへと出向いている。

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